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後日談(10) 超苺はゆるがない。


 後日談(10) 超苺はゆるがない。

 超苺は、『ダイナミックお邪魔します』をくらって驚いている、
 という言い訳を大義名分として、
 エタナルの体をジックリと観察していた。

 ぶっちゃけ、殺気など、一ミリも込めていない。
 『女性に暴力を振るっているカス』を前にしていない時の超苺は、
 基本、『女性の美』を観察することにしか興味がない。

 ちなみに、超苺がのぞむ『美』とは『女性そのもの』であって、
 世間一般の目から見て『美しい』か『そうでない』かなど一ミリも関係ない。

(こ、この殺気はエグすぎる……ぅ、動けねぇ……わずかでも動けば……やられる……っ)

 蛇に睨まれたカエルとは、まさに今のエタナル。
 睨んでいるのは『蛇』ではなく、『変態紳士』なのだが、
 そんなこと、エタナルには知る由もない。

 場が膠着状態に陥ったところで、

 センが、

「えっと……二人とも、とりあえず、にらみ合いをストップして、軽くでもいいから、話し合ってみない? 気づいているかどうか知らんけど、あんたらが無言のにらみ合いをはじめてから、もうすでに5分以上経過しているんだわぁ。長かったよぉ……いつ言おうか、ずっと、機会をうかがっていたんだけど、いや、ほんと、長かったわぁ」

 センの言葉を聞いて、超苺は、

(おっと……つい、夢中で、彼女の体を観察してしまった……セン様の貴重な時間をこれ以上奪うことは流石にできないな)

 そう言いながら、カミーレンに視線を送る。
 カミーレンは、蝉原から、『超苺が、おしゃべりを嫌っている』ということを聞いており、『超苺から求められた時』は、超苺の心情をおもんぱかって『通訳』を果たすという義務をかせられている。

 超苺からの『GOサイン』をもらったカミーレンは、

「失せろ、クソボケ。六大魔王ごときを相手にするほど、私はヒマではない。貴様とは存在の格が違うんだ――と、コイチゴ様はおっしゃっている」

 などと、全然思っていないことを言われて、
 超苺は普通にキョドる。

(え、いや、別にそんなことは思っていないんだけど……)

 と、反論するのはダルいので口にはしないのだが、
 どうしたもんかなぁ、という表情をする超苺。
 ただ、彼は、無口なだけではなく、無表情でもあるので、
 表情から心情を読み取ることは不可能に近い。

 結果、周囲は、カミーレンの言葉を、超苺の言葉として受け取る。


「……な、ナメた口たたいてくれるじゃねぇか、邪神風情が……ちょっと強いと思っていい気になりやがって……」


 挑発されたことで、
 エタナルのボルテージが上がっていく。

「私は六大魔王のエタナルだぞぉお! この世界で最も強い化け物なんだぁ!」

 そう叫びながら、
 超苺になぐりかかるエタナル。

(いや、この世界産で『もっとも強い化け物』は、龍の女神じゃね? もっと言えば、もっとも強い存在はセン様だし)

 などと、心の中でつぶやきつつ、
 超苺は、エタナルの拳をさらりとかわし、
 彼女の力を利用して、軽やかに、クンッと、
 彼女の体を一回転させる。


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