センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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後日談(1) 『センエース』VS『蝉原勇吾』(三人称視点)


 後日談(1) 『センエース』VS『蝉原勇吾』(三人称視点)

 センエースが、ユズをボコボコにした翌日、

 蝉原は、一時、『天空の城』に戻り、
 デビナがさらってきたオッサン『ウロス父』と戦闘訓練をしていた。

 ――ちなみに、ここは、天空の城の内部にあるコロシアム。

 『存在値を抑(おさ)える指輪』を使い、
 ウロス父と『同じ存在値』にしてから、
 蝉原は、ウロス父と殴り合っていた。

 結果は、蝉原がボコボコにされた。
 鍛錬(たんれん)を積み、戦闘力を磨(みが)いてきた男が相手だと、
 さすがに、蝉原でも相手にならなかった。

 蝉原は、

「いやあ、やるねぇ。おれも、それなりに『ケンカの実績』を積んできた自負があったんだけど……さすがに、『生まれた時から、モンスター相手に、ガチで命の削り合いをしてきた男』には劣(おと)るか……」

 そう言いながら、
 回復魔法で、体の傷をいやす。

 その姿を横目に、
 ウロス父は、
 心の中で、

(……この、邪悪な顔をしている少年……セミハラユーゴは、現時点では、そこまで、高い戦闘力をもっているわけではない……けど……私との戦闘訓練開始から、数時間ていどしかたっていないというのに……最初とは比べ物にならないほど強くなった……センスの塊……素晴らしい才能をもっている……)

 『蝉原に対する評価』は、自分が今までに見てきた者の中で最高レベル。
 蝉原なら、すぐに自分を抜くだろうと思った。

 ウロス父が、『その想い』を、蝉原に、そのままぶつけたところ、
 蝉原は、

「この程度じゃ、話にならないよ。もっと、もっと、強くならないと」

「……そ、それだけの力をもっていながら……まだ、貪欲(どんよく)に力をもとめるとは……」

 訓練開始前に、少しだけ見せてもらったので、
 ウロス父は、蝉原の『本当の実力』を知っている。

 蝉原の実力は、化け物じみていた。
 六大魔王でも相手にならない、とんでもない実力。

 けれど、それだけの力をもっていながら、
 しかし、蝉原は、たゆまずに『強くなること』を求めていた。
 それも、かなり焦った感じで。

「センくんが、おれの想定をはるかに超える力をもってしまったからねぇ。配下としては、置いて行かれないように必死なのさ」

「センエース……様は……いったい、どういう御方なのですか? おろかな私の目には、平凡な少年にしか見えないのですが……」

「彼がどういう存在なのか、その詳細はおれも知らない。彼は異質すぎるから……まあ、でも、しかし、あんたにも、これから、少しだけ分かるかもね」

「……ぇ?」

「その目で、彼を見定(みさだ)めてみたらいい」

 蝉原がそう言ったところで、
 このコロシアムに、
 『酒神』と『アダム』と『アルブム』と『マリ』を引き連れた『ハーレム状態のセン』が登場した。

「おお、やってんねぇ」

 などと言いながら、
 蝉原たちのもとへと近づいてくるセン。

 蝉原から『戦闘訓練がしたいから、手をかしてほしい』と言われたセンは、いったん、この城に帰還(きかん)した。

「俺も、ちょうど、訓練したいと思っていたところだったんだ。ただ、モンスターを倒してレベルアップとかもしたいから、ずっと戦闘訓練ばっかりってわけにもいかない。そこのところよろしく」

 そう言いながら、軽くストレッチをして、

「じゃあ、サロさん、まずは、あなたと訓練したいんで、よろしく」

 ウロス父――『サロ・バグディナ』は、

「あ、はい……よろしくお願いします」

 そう言って、
 センとの戦闘訓練を開始した。

 サロは、とりあえず、普通に戦ってみる。
 戦ってみての感想は、

(このセンエースという少年は……平凡よりだいぶ下だな……正直言って、かなり弱い……普通に存在値が低いし、戦闘力も、話にならない……すべてにおいて、セミハラユーゴを下回っている)

 数分ほど、指導戦闘をしたところで、
 サロは、

(この少年には才能がない……なぜ、この少年が、セミハラユーゴや、そのお弟子の方々のような超越者をしたがえているのか……)

 理解が出来なかった。
 見た目も、才能も、実力も、すべてが劣(おと)っている。
 そんなセンが、なぜ……

 と、思っていると、
 センが、

「なるほど……やっぱり、俺、才能がないな……」

 ボソっとそうつぶやき、

「まともにパンチができるようになるだけでも、だいぶ時間がかかりそうだ……これは、もう、そうとうに、エゲつない訓練が必要だな……」

 などと、ボソボソ言っているセンに、

 蝉原が、

「さて、センくん。それじゃあ、そろそろ、おれとの訓練を開始してくれないかい? おたがい、持っているものを全部出しあって現状を確認しあう形の、そういう訓練をしよう」

「ああ、いいよ」

 もともと、そういう約束だった。
 サロとは、戦闘力の訓練。
 蝉原とは、総力戦の訓練。

「サロさん、酒神たちの方に下がってて。けっこうハデな訓練になる気がするから」

 そう言われて、サロは、
 酒神たちがいる場所の近くに避難(ひなん)する。

 と、そこで、蝉原は、『存在値を下げる指輪』を外して、

「センくん……最初に言っておくけど、全力は出さないでくれよ。おれは君と違ってモロいんだから、本気を出されると、たぶん一撃で死んでしまう」

「心配するな。お前には、世界征服をやらせないといけないから、殺したりはしない。かりに、殺す気があったら、だいぶ前に『死ね』と命令している」

 そう言いながら、
 戦闘態勢をとると、
 まず、センの背中から、
 キャノンつきのシッポが生えてきた。

 それを見て、サロは、

(……な……あれは……)

 あのシッポに、どれだけの力が込められているのか、
 具体的には分からなかったが、
 『とにかくヤバい』ということだけは、なんとなくわかった。


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