センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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101話 激闘。


 101話 激闘。

 膨大な力の奔流。
 嵐のように、
 オーラと魔力がナイプティを包み込む。


「さあ……死闘を始めようか……シュブ=ニグラス……あんたを、俺のプライマルコスモゾーンレリックにさせてもらう」


 そして、はじまった、
 長い、長い、闘い。

 お互い、生命力が膨大で、
 パワーもスピードも桁外れ。

 だから、なかなかダメージを与えられない。
 結果、完全な泥試合。

 お互いが、ちょびちょびと、生命力を削り合う、
 とんでもなく気の長い殺し合い。

 これは、武力のぶつけあいではなく、
 心を摘む闘いだった。

 折れた方がずるずると落ちていく。
 そういうデスゲーム。

 どれだけの時間が経ったか分からない。

 とにかく、両者とも必死だった。
 拮抗しすぎている闘いはこれだからよくない。
 ――と、お互い思いながらも、
 結果的には、





「――しゃああ、おらぁああああああ! 勝ったぞ、ごらぁああ! はっはぁあああ! ひゃっはああぁあああ!」





 ほんのわずかな差だったが、
 ギリギリのところで、
 ナイプティは、シュブを削り切ることに成功した。

「しんどかったぁああああっ! ああー、大変だったぁあああ! けど、勝ったぁあああ! どうにか、未来につなげることができたぁああ! 危なかったぁあああ!」

 ひととおり、歓喜を叫んでから、
 ナイプティは、意識を失って地に伏せているシュブに右手を向けて、

「――強者は華。堅陣な魂魄は土――」

 そう宣言すると、

 シュブの肉体が圧縮されていく。
 洗練されていく。

「――審判のアリア・ギアス発動――」

 そして、最後には、まがまがしい盾となった。


「プライマルコスモゾーンレリック、ゲットだぜ、と……ああ、長かった……この戦いもそうだったが……この戦いに到るまでが……とにかく……絶望的に……ああ、長かった……」

 と、これまでのあれこれを振り返り、感慨深そうにそうつぶやく。


「とにもかくにも、これで、未来はつながった……あとは、ノイズの処理をして、原初の世界に帰るか」


 そう言いながら、
 ナイアは、
 自分の中から『ゲン』の部分を切り離して、
 その辺に、ポイっと捨てる。

 そして、右手をゲンに向けて、
 異次元砲を放とうとした。

 ――その時、





「……やめろ、ナイア」





 背後から現れた男に、言葉で阻止される。
 ナイプティは、振り返り、

「今の俺はナイプティなんだけど……まあ、どっちでもいいか」

 そう言いながら、
 ナイアは、彼――『ソウル・フォース』に目線を向ける。
 ゲンの父であり、毒組の局長。

「もう、『P型4号(ゲン)』の解析は完全に終了した。ゲンの要素は、ノイズにしかならない」

「それは分かっている」

「じゃあ、なんで、止める?」

「なぜ……なぜって……そりゃあ……」

 そこで、『ソウル・フォース』は、
 生まれたばかりの『小さなゲン』を、その手に抱きしめたことを思い出す。
 小さな命だった。
 弱弱しくて、ふにゃふにゃしていた。

 小さな手だった。
 触れると、ソっと握ってきた。
 暖かかった。
 ドクドクと、確かに脈打っているのが分かった。

 覚えている。
 全部。
 なぜ?
 どうでもいい記憶のはずなのに、
 なぜ忘れないのか?
 と、いつだって自問自答。
 けど、答えは出ない。


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