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93話 世界の循環システム。


 93話 世界の循環システム。

(第二~第九アルファは、かなり高性能だが、死を蔓延(まんえん)させなくとも循環している…………第二~第九アルファは、たぶん、真・第一アルファよりも、循環率がいいんだろう……だが……)

 ヨグの記憶に触れて、
 世界の循環システムについて理解したセンは思う。

(ヨグほどの神が『命の全部』を『自転車操業』しまくって、それでも、枯れてしまうのが世界運営の本質だとすれば……第二~第九アルファが、どれだけ、優れた循環率を誇っていたとしても……『代償なしで永遠に運営し続ける』のは不可能だろう……)

 などと、センが頭の中で考えていると、
 ヨグが、

「一つだけ言っておこう。貴様のホームである第二~第九アルファと、私の真・第一アルファは、循環率だけで言えば同じだ。というか、『同じ』になるよう調整して創りあげた」

「……第二~第九は、死の循環を必要としていないが?」

「血塗られた歴史の貯蓄があるだけだ」

 そこで、センは、『異世界大戦』や『バグ戦』の事を想い出す。

「……」

 血塗られた歴史の中では、
 確かに、数えきれないほど多くの死が蔓延した。

「それに……第二~第九アルファを『真に支えている者』は……私よりも内包されている力が大きい。くらべれば太陽とスッポン」

「……」

「第二~第九アルファは、まだ『持(も)つだろう』が、永遠ではない……終わりはくる。この世界と同じように」

「……」

「真・第一アルファは、もう終わりだ……この世界は崩壊する。私が全てを根こそぎ喰らい尽くして、完全循環をはたせば、『最初からやりなおすこと』は出来るが……それは、未来のないループだ。同じことを繰り返すだけ……そして、いずれは完全に枯渇する」

「……あんたがやってきたことの意味はだいたい理解できたよ。――で? 俺に世界の真相を見せた理由は?」

「言っただろう。私を嘘つきにしてくれ」

「……だいぶムズいことを、完全丸投げされたな……」

「どうにかできないか?」

「んー」

 そこで、センは天を仰いで頭をまわす。

「ヨグ……お前の記憶に触れたことで、『世界を支える』ということの『意味』はだいたい理解できた。俺も神として世界をアホほど創ってきたが……これは、創るのではなく、運営する側……ようするに、『世界を創る』という行為を『なろうでの作家業』に例えた時、世界を支えるのは、『サイトの運営』……集客であったり、メンテであったり、サーバーの管理だったり……そういうことだろう……基本、そういうのは、全部、コスモゾーンがやっていると思っていたんだが?」

「コスモゾーンはサーバーだ。すさまじく高性能な汎用量子コンピュータであることは事実だが、サーバーだけで運営はできない。サーバーを扱う『管理者』は絶対に必要だ」

「……ふむ」

 そこで、センは、色々と考えた。
 本当に、色々。

 頭がおかしくなるほど、必死になって考えた。

「この真・第一アルファの管理者はヨグ、お前だということはよくわかった。ところで、第二~第九アルファの管理者が誰なのか、お前は知っているか?」

「知っている」

「お名前は?」


「――『ソル』――」


「……ああ……なるほど……」


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