センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

90話 究極の邪神(笑)。


 90話 究極の邪神(笑)。

「借り物の力を振り回して嬉しいかぁああ! むき出しで勝負しろぉお!」

「……これが、私の『むき出し』ですよ。私の可能性を、勝手に低く見積もらないでいただきたい」

「――うぅ! ぐぅう! ぐっ……ぎぃっ!」

 今の自分では、『どれだけの力』を込めようと『ウムルを蹴散らしてエネルギーを奪い取ること』は不可能――そう判断すると、
 ヨグは、

「た……頼むぅ……ほんの少しでもいい……分けてくれ……」

 無様に頼み込む。
 『労基に追い詰められたパワハラ上司』さながらのみっともなさ。

 そんな、かつてのパワハラ上司に対して、
 ウムルは、

「……『恩という名の情』は返しましたが、『もらったモノ』は、まだ私の中に残っております。恩を返した以上、それを返す義理はありませんが……レンタルまでなら、許しましょう。『中心を失ったアルテマ・ウムル』では、あまりに弱すぎて、『絶対的精神的支柱の七段階目』に届いたセンエースの『戦闘データ』をとれませんでしたしね……」

「……結局、自分の都合ではないか」

「いやなら結構。他の手をうつだけです。私には、まだ『シュブ=ニグラス』の幻影を使う方法も残されていますので」

 ウムルの狡猾さに対し、
 ヨグは、一度歯ぎしりをしてから、


「……わかった……よろしく頼む」


 頭を下げた。


 ★


 すべての調整が終わった時、
 『究極の邪神』が誕生した。

 これまでに存在したどの邪神をも超える圧倒的なスペック。
 まぎれもなく、最強の神。

 ――けれど、

「こ、これでも……届いていない……」

 ヨグは、膝から崩れ落ちた。

 間違いなく強くなっている。
 絶死も積んだ。
 コスモゾーンにおかわりもした。
 蝉原にもすがりついた。

 何もかも全部を積んで、
 しかし、結果は、

「……センエースより……数値的には上になった……が……この程度では、話にもならない……」

 これまで、あまたの化け物たちが、
 『センエース以上の数値』でもって、
 センエースに相対してきた。

 中には、
 センエースより『3倍以上強い者』もいた。
 中には、
 センエースより『10倍以上強い者』もいた。
 中には、
 センエースより『1000倍以上強い者』もいた。

 ――そのどれもが、当たり前のように、
 センエースの可能性に圧殺された。

 『俺より強い程度の雑魚には負けない』

 そのセリフは虚勢ではない。
 ただの事実。
 『センより強い』という程度では、
 センを削り切ることはできない。

 センよりも圧倒的に強くなければ、『センエースと対峙する資格』さえ与えられない。

 ――今のヨグはセンよりも強い。
 『今のセンエースよりも強い』というのは、
 『全世界に誇れる数値である証拠』なのだが、
 しかし、その程度では、勝てるわけがない。

 勝てないのであれば、意味がない。
 数値が1000兆だろうと、1京だろうと、
 そんなことはどうでもいい。

 『勝てる』か『勝てない』か。
 重要なのは、いつだってそこだけ。

「……ぐ……ぅう……」

 自分ではセンエースには勝てない。
 そんなことは分かっている。
 だから、


「――センエースエンジン……インストール……」


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