センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
89話 『ウムル』VS『ヨグ』。
89話 『ウムル』VS『ヨグ』。
「た、足りない……まったくもって、足りていない……この程度では、どうしようもない……センエースには届かない……」
そんなヨグの嘆きに対して、
センはポツリと、
「ああ、届いてねぇな。お前に負ける気はしない。もっとも、お前の存在値や戦闘力が、俺を超えたとしても、そんなもんは関係ねぇけどな。俺は、俺より強い程度の雑魚には負けないから」
「いやだ……いやだ……いやだ……私で終わりたくない……私以外で終わってくれ……」
まるで、レクリエーションでよく見られる『爆弾ゲームでアウトになった子供』のように、ヨグは、とにかく、自身の『不運』を回避しようともがき続ける。
「なにか……なにかぁあああああああああ!」
必死になって、探しつくした結果、
ヨグは、希望の光を見つけた。
「――っ?! なんだ、この異常な量のエネルギー……気づかなかった……いったい、いつのまにこんな……いや、そんなことはどうでもいい……これを! これを、全部もらう! そうすれば、可能性に届く!」
コスモゾーンの深部を覗き見ているヨグは、
希望を求めて、謎のエネルギーを奪い取ろうと画策。
――しかし、そのムーブを、
意外な人物が止めに入った。
「――ダメに決まっているでしょう。ソレは『蝉原』の分です」
そう言いながら、
まるで、門番のように、
謎のエネルギーを守っている邪神。
『金のヴェールをまとった男』のような異形。
――名前は『ウムル=ラト』。
ナイアに作り替えられたアルテマの方ではなく、
ナイアに破壊されたヌケガラの方。
「――ウムル……貴様、誰に口をきいている! 貴様にかけてやった恩を忘れたか!!」
「おぼえていますよ。あなたは『力を渇望していた私』に未来をくれた。雑用係としてこき使われるだけの日々でしたが……まあ、でも、『望みをかなえてくれた』という事実に変わりはない。だから、あなたに尽くしてきた。尽くして、尽くして、尽くして……もう、十分に恩は返した……これからは、自由にやらせてもらいます」
「たいして使えない『微妙な道具』の分際で、ナメた口たたくんじゃねぇええええええ!!」
パワハラ上司さながらの圧力をかけていくヨグに、
ウムルは『目を覚まして転職を決意した社畜』のように、
「私は、『蝉原勇吾』のコアオーラの一部。『すでに終わっているあなた』よりも、可能性という点では遥かに優れている」
そんな『ピカピカの自負』をむき出しにして、
ウムルは、ヨグにくらいつく。
ヨグとウムルでは、スペックに大きな差がある。
本来であれば、ウムルがヨグに抵抗などできるわけがない。
しかし、現段階だと、
「ぐぅうう! 貴様ぁあああ! 蝉原だけじゃなく、『永遠人形』の力まで使っているな!! 借り物の力を振り回して嬉しいかぁああ! むき出しで勝負しろぉお!」
「……これが、私の『むき出し』ですよ。私の可能性を、勝手に低く見積もらないでいただきたい」
「――うぅ! ぐぅう! ぐっ……ぎぃっ!」
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