センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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81話 トウシに頭を下げてでも。


 81話 トウシに頭を下げてでも。

 センを守るためなら、ゼノリカは何でもする。
 醜さも、恥も、外聞も、ぜんぶかなぐり捨てて、
 センのためだけに舞う修羅となる。

 そんな彼らの自爆テロに対し、
 センは、朗らかに、

「あ、大丈夫、大丈夫。あのいやがらせみたいなアリア・ギアスなら、解除する方法を見つけたから」

 センの言葉を受けて、ゼノリカに動揺が走った。

「ふふん。俺をナメるなよ。孤高を愛する俺を、イカれた過保護で縛ることは出来ないと知れ。お前らが、キチ○イのアリア・ギアスを世界に刻んだ段階から、それを解除する方法をずっと模索していた。トウシがやっていたみたいに、システムにもぐりこめばどうにか出来ないかなぁ、と思い、F-クリエイションを起動させてみたんだが、複雑なハックとか必要なく、オフるだけでいけた。いやぁ、助かったよ。複雑な手順を要求されたら、俺の頭じゃ不可能だったからな」

 最終的には、リアルのトウシに頭を下げてでも、
 『この縛り』を解除するつもりでいたのだが、その必要はなかった。
 その事実に対し、センは、けっこうホっとしていた。
 『どんな理由があれ、田中トウシに頭を下げるのは避けたい』、
 というのが、センエースの無垢な本音なのである。

 ちなみに、センエースの記憶を持つゼノリカの面々は、
 センの言っていることが理解できた。
 だから、

「……か、仮に、システムによる死を失ったとしても、あなた様を失えば、我々は自らの意志で自害します」

「あ、それ、却下でーす。というか、正式に禁止でーす。『俺が死んだからという理由で自殺すること』を、王として、親として、正式に命令しまーす。残念でしたー」

 その命令には強烈な強制権がある。
 センがオフったのは、命のつながりだけ。
 『この上なく尊き魂の系譜』による子側のデメリットの一つ。
 親の命令は絶対。




「勘違いするなよ。お前らが俺を守るんじゃない。俺がお前らを守るんだ。親ってのは、そういうもんだろ」




 センは、まっすぐな目で、ゼノリカに言い放つ。
 ゼノリカは、センの想いを受けて、また、心からの涙を流した。
 それは、感動の涙でもあったのが、
 『くやしさ』で流す涙でもあった。

 ゼノリカは、センを守るためならなんでもする。
 必要とあらば、みっともなく同情を買うことすらいとわない。

「お願いいたします。あなた様に死なれたくないのです。どうか、無茶はしないでください」

 と、全員で、涙ながらに土下座していくという、
 精神攻撃にうってでるゼノリカ。

 なんだかんだ『子に甘いセン』が、
 平常時に、この『情に訴える攻撃』をくらっていたら、
 ポッキリと折れていたかもしれない。
 ゼノリカは、それが分かっているからこそ、この一手を放った。

 しかし、今は、現状が現状なので、

「意地悪とか底意地とかで言っているんじゃない。『オメガを超えた俺』しか、時空の門は通れないんだよ。これは、俺がやるしかない仕事。それだけの話だ。そんで、今後も、俺には、そういう仕事が、きっとまわってくる」

 これまでそうだったように、
 今後もずっと、
 『本当に厄介な問題』は、
 全部、センがどうにかするしかない。

 それが、王の職務。
 英雄としての責務。

「俺の勝利を祈ってろ。俺は負けない。仮に、時空の門の向こうにいる敵が俺を超えていたとしても、そんなもんは関係ねぇ。俺より強い程度のザコに、俺は負けないから」


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