センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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78話 理解しているから、なんだというのか。


 78話 理解しているから、なんだというのか。

 ――まあ、なにはともあれ、
 どうにか、彼女たちのことも救出し、
 彼女たちの怒りと悲しみを受け止めたセンは、
 軽く、その場で、今後の方針的なものをヌルっと話し合ってから、
 裏ダンジョン・ゼノリカに戻った。

 すると、そこでは、
 センの系譜に連なった者たちが、
 完全平伏状態で、センを待っていた。
 完全平伏&全力お祈りモードの彼・彼女らを見て、
 センは、普通に絶句した。

(うわぁ……しんどぉ……いや、もう、こうなることは分かっていたけど……しんどい、しんどい……)

 眉間にシワをよせることしかできないセンに対し、
 最初に口を開いたのは平熱マンだった。


「師よ……あなた様の尊さだけが、ボクたちの生きる道標」

「……ちょっと、何言っているかわかんないな」



 もともとセンに対しての忠誠心が天元突破していた彼だが、
 『この上なく尊き魂の系譜』に連なったことで、
 『彼の中』にある『センに対する想い』は、
 さらに、濃度のエグい異次元の領域に到達した。

 平熱マンの目は、完全にガンギマっていた。
 常軌を逸した愛がにじみ出ている。

 平熱マンのソレが、一段階深いのは事実だが、
 ほかのメンツも、なかなか負けていなかった。

 彼らのセンを見る目は、
 愛情と言っていいのかすら、もはや分からないレベルで狂っていた。

 そんな彼らに、
 センは、


「えっと……まあ、あれだ。アルテマウムル・シャドーとの闘い、本当に見事だったよ。お前たちは俺の誇りだ。愛してるぜ」


 親としての役目を果たす。
 親の役目は、死ぬ気で子を愛すること。
 『母からもらった愛の意味』を知るセンは、
 当然のように、自分の子にも、愛をそそぐ。

 センからの言葉を賜(たまわ)ったゼノリカの面々は、
 失神寸前の顔でセンを見つめていた。

 本当なら、『アイドルのコンサート会場でウェーブする熱狂ファン』ばりに、歓喜の声をあげたいところなのだが、彼・彼女らは、必死になって、グっと抑えた。
 必死に心を整えて、神の軍勢としての威厳を保つ。

 ただ、涙を流すことだけは止められなかった。
 命の雫。
 自制したのも事実だが、言葉にならなかった、というのも、また事実。
 気づけば、止められない涙があふれていたんだ。

 ――『センの想い』は理解しているつもりだった。
 『センの献身』は『命を注いでもらった時』に、
 『すべて理解できた』と思った。
 それは事実で、
 彼らは、センを誤解なく理解できている。

 センエースという神が、
 間違いなく、『この上なく尊い命の王である』
 と、この場にいる誰もが正しく理解している。

 しかし、


 ――理解しているから、なんだというのか。


 センから言葉をもらった時、
 魂の奥が震えた。
 脳の中が甘さで満たされた。
 ドーパミンや、セロトニンや、オキシトシンが、
 許容量をシカトして、ドバドバと頭の芯を満たしていく。
 全身が燃えるように熱くなり、
 命の全てが、センを求めだす。

 『この御方にもっと尽くしたい』という、
 震えるような欲求だけがゼノリカの全てを包み込む。


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