センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

67話 王の仕事は……


 67話 王の仕事は……

 概念が結集していく。言葉にならない想いを形に変えて、『届け』と叫びながら、センは、自分の全部をゼノリカにささげる。

 無意識の中で、
 ゼノリカの面々は、
 『自分達を包み込んでいる神の輝き』に酔いしれる。

 至高の至福。
 『彼・彼女たちの魂魄を構成している粒子』の一つ一つが満たされていくのを感じる。
 質量を取り戻していく。

 感情が暴走。
 魂魄が輝く。

 ――その全部が一つになって、
 ゼノリカはよみがえる。



 ―――――――※※―――――――



 完全なる死を迎えた命が、
 コスモゾーンから回収されて、
 元の器に注がれていく。

 その過程を経るたびに、
 『センエースの生命力』は削られている。

 その事実を、ゼノリカの面々は、無意識の中で理解していた。
 自分達は、『この上なく尊い王』を『喰らう』ことで生かされている。

 その理解によって、
 『至高の至福』が『許しがたい大罪』となって、
 彼・彼女らの心を蝕んでいく。

 ――おやめください――
 ――我々なんぞよりも、あなた様自身を優先させていただきたい――

 そんな懇願がセンの中心に注がれていく。

 だが、知った事ではなかった。
 センは、彼・彼女らの想いを完全にシカトする。

 ――黙って、喰らい尽くせ――
 ――王の仕事はふんぞり返ることじゃない――

 ――責任を取ることだ――


 『センエースの献身』の『重さ』が、
 ゼノリカの心の中心に注がれていく。

 センエースを止めることはできない。
 無意識の中で、『ソレ』を深く理解したゼノリカの面々は、

 ――あなた様を、失いたくない――

 全員の想いが一致した。
 自分たちは死んでもいいから、
 センエースには生きていてほしい。

 そんな願いが一つになって、
 グツグツと煮立って、
 重なり合って、
 そして、


 ――我々の命、その全てをささげます――


 センエースからもらった命を、
 そのまま、そっくり、センエースに返そうとするゼノリカの面々。

 その行動に対し、
 センは『アホを見るような渋い顔』をして、

 ――いや、あの……返されたも困るんだよ――
 ――お前らに渡した命を、すぐ返されるって――
 ――これ、俺、なにしてんだよ――
 ――なんの意味もない1ターンじゃねぇか――
 ――ウムルという『やべぇ敵』を前にして――
 ――なんで、俺ら、束になって『事実上のパス』してんだよ――

 センは、自身が『この世でもっとも愚かだ』と認識している、
 『いやいや』『いやいやいや』の無限応酬が始まろうとしているのを感じて、

 ――お前らの意見なんか知らん――
 ――俺は王だ――
 ――責任が重い代わりに――
 ――絶対の命令権を持つ――

 ――お前らの望みは全部却下――
 ――俺の命を喰らい、甦(よみがえ)れ――
 ――以上――
 ――理不尽? 当たり前だ。王ってのは、そういうもの――

 センは、『自分がささげた命』を『秒でクーリングオフしようとしてくるゼノリカの面々』に対し、『絶対の命令』を押し付ける。

 センは、『強制力』を限界まで強化して、
 ゼノリカに、自分の命を注ぎ込もうとする。

 言葉とノリだけは、少し軽めのセン。
 けれど、やっていることは、すべて、
 胃もたれで吐き気がするほど重たいハイカロリー。



 ――ああ……命の王よ――



 ゼノリカの面々は、さらなる恍惚に包まれていた。
 『センエースの覚悟』に触れるたび、
 その想いの深さに眩暈(めまい)がしてくる。
 クラクラと混乱しそうになるほどの愉悦に包まれる。

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