センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

65話 センエースの献身。


 65話 センエースの献身。

 ――さすがに、俺の全部を防ぎきれるほどじゃねぇ――

 ――俺が積み重ねてきたものを、ナメんなよ――

 センエースの全部が束になって、
 虚空の呪いに対し、


 ――龍閃崩拳――


 磨き上げてきた拳を叩き込む。

 ――ひとたまりもなかった。

 呪いの精度が低かったわけではない。
 センの拳が重すぎた。


 センは止まらない。

 『ゼノリカに属する者たちのコアオーラ』を全て回収すると、
 その大量のコアオーラを抱えて『現世』に戻る。

 その流れの中で、センエースのコアオーラは、
 ボロボロと、崩れていった。

 今、センがやっていることを、
 一般人の行動に例えると、
 『生身で、100メートルぐらい海に潜って、ただよっている魚の死骸数百~数千を手作業で回収する』みたいなこと。

 『なんで、そんなこと実行できてんの?』と疑問符を抱かずにはいられない無茶を、
 センは、命を削りながら、平然とこなしている。

 『完全なる死』を代償としていながら、
 しかし、センは、
 『そんなことに意識を向けている余裕はない』、
 とばかりに、ただただ必死に、
 ゼノリカの面々を復活させることだけを考えて行動している。

 そんなセンの、常軌を逸した献身は、
 『重たい思念』となって、
 『センに回収されたコアオーラ』たちに注ぎ込まれた。

 ――アルテマウムル・シャドーに殺されたゼノリカの面々は、
 『深い暖かさ』と『無上の輝き』の中にあった。
 無意識の中に注ぎ込まれたセンの献身。
 それは、ただの感情ではなく記憶を伴っていた。

 センが積み重ねてきたものの一部が流れ込んでくる。

 それに気づいたセンは、一瞬だけ、そんな『記憶の流出』を止めようとしたのだが、
 現状、それをする余裕はなかった。

 例えるなら、『生身で、100メートルぐらい海に潜って、ただよっている魚の死骸数百~数千を手作業で回収している途中で、背負っていたリュックが開いてしまって、閉めようとしたけど、手が届かなくて、諦めた』みたいな感じ。



 // ――【裏設定・無粋なネタバレ】 誰が、そのリュックを開けたのか。それは、センの中に刻まれているオメガの因子。目的はいやがらせ。それ以外の理由は特にない。オメガは、ゼノリカに、センを教えたかった。押し付けたかったと言ってもいい。だから、禁止魔カード・セレナーデで違法ダウンロードした『記憶』のコピーを、盛大にバラまいた。その記憶は、ご丁寧に、ゼノ・セレナーデでの記憶も含まれており、ほぼ『センの全て』といっても過言ではない完全なデータとして、ゼノリカの中へと浸透していく。



 バラまかれた記憶のことを考えている余裕はなかった。
 セン的には、とにかく、てんやわんやで、
 あたふた、ブクブクしながら、
 必死になって、コアオーラを回収しまくっている。

 そんなセンのあたふたとは裏腹に、
 ゼノリカの面々は、
 『暴力的な恍惚』に浸っていた。

 『感動』という概念の全部が、
 津波のように襲い掛かってくる。

 センエースの記憶に触れたことで、
 彼・彼女らは、ついに、

 ――『センエースの献身』を正しく理解した。


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