センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
54話 ゼノリカ全体が抱く大きな欠点。
54話 ゼノリカ全体が抱く大きな欠点。
「嘆いているヒマがあるなら、もっと、私を殺すことに没頭したらどうだ? 貴様ら、まだ、私を30体しか倒していないのだぞ。あと、残り『999970』体以上残っているんだぞ。確かに、30体殺したのはすごいんだが……もし『殺しきること』が目標だとしたら、没頭の度合いが足りないんじゃないか?」
ウムルの言葉が、
ゼノリカの面々の心に重たくのしかかる。
再度、あらためて数字をつきつけられて眩暈がした。
クラクラする。
そんなゼノリカの面々に、
ウムルは、無慈悲に、
「配分をもっと考えろよ。貴様ら、本当に『100万体の私を殺す気』があるのか? いや、ないだろ? そういうとこだぞ」
ウムルはたんたんと、
「センエースに頼り切ってきた貴様らの限界が『ここ』だ。私のような異次元の化け物を30体も倒せる貴様らは、普通に考えたら凄いんだが……『普通に考えたら凄い』という程度で、センエースが向き合ってきた『本物の絶望』を殺せるわけがない」
そこで、ウムルは、天下の面々に意識を向けて、
「センエースに頼り切りの連中も酷いが、それよりもクソなのが貴様らだ。聖典に書かれていることをプロパガンダとしか思えない低品質のバカどもに、本物の絶望を処理できる力などない。貴様らには、私という絶望の前に立つ資格がない」
天上は、『センエースにたよりすぎる』という欠点があり、
天下は、『センエースを知らなすぎる』という欠点がある。
どちらもあまりに不完全。
絶望の前に立つ資格がない。
――それがウムルのゼノリカに対する採点。
ちなみに、これは、心を削る攻撃。
『士気』にダメージを与えることが目的の一手。
ただ、『本気で思っている』ことでもある。
センエースを基準に考えれば、
ゼノリカはぬるすぎる。
センエースを基準にされたら溜まったものではない、
というのも真理なのだが、しかし、同時に、
センエースと比べたら生ぬるい、
というのも、また真理なのである。
事実を武器にして、
ゼノリカの意志をくじこうとするウムル。
(……どうにかして、50号を出す前に終わらせてやる)
目標を高く設定して、
その目標を達成するために、何でもする。
『次のステージへ進もうとする者』の正しい姿。
そんなウムルの『頑張り』が、
ゼノリカの面々の心にはクリティカルで入った。
「……」
「……」
お通夜のような冷たい無言で世界を包み込む。
誰も何も言い返せない。
ウムルの発言は核心の中核をつきすぎていて、グウの音も出ない。
士気がガクっと下がったのを感じたゾメガは、
歯を食いしばって顎をあげて、
「心を摘まれるなぁ! みっともない!!」
腹の底から叫ぶ。
続けて、平熱マンが、
「……『絶望の前に立つ資格を持たない者』は、『心を摘まれてしまった者だけ』ですよ。ここまでに積み重ねてきた努力が足りなかったことを自覚するのは結構。しかし、それを言い訳にして折れるようなバカは、敵よりも先に、ボクが殺します」
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