センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

36話 勝ったぁあああああああ!!


 36話 勝ったぁあああああああ!!

「……普通にミスった……クソがっ……センエースエンジンは、本当に、制御するのが難しい……あまりにもピーキーすぎる……なぜ、こうも、安定性をドブ捨てられるのか、意味がわからん……」

 ジャミを殺す程度なら楽勝、
 と、慢心したがゆえの結果。

 もっと言えば、
 『慢心していても勝てる』、
 そのぐらいの差はあると信じての一手だったが、
 そのぐらいの差はなかったという悲しい結末。

 ウムルの誤算はそれだけではない。
 先ほど蹴り飛ばしたカンツが、

「このワシがぁああ 蹴り飛ばしただけで、無力化するとでもぉおおおおおお?!」

 間違いなくズタボロで、
 先ほど、致命的な一撃を受けた、
 にも拘わらず、
 カンツは、当たり前のように戦線に復帰して、
 ウムルの背後から、


「――閃拳っっっ!!!」



 内包されている膨大なオーラを、これでもかとぶち込んだ閃拳を、
 ウムルの背中に叩き込むカンツ。

「がはぁっ!!」

 想定外の火力。
 普通に驚いて吐血するウムル。

(せ、閃拳の厚みが……さらに増した……私が解説したセンエースの軌跡が、時間と共に、カンツの中で、しっかりと根を生やしはじめたか……必要な一手だったとはいえ、敵を大きくさせるというのは、イヤなものだな……)

 センエースを知る前に、
 センエースが刻まれたカンツ。

 アルテマウムル・シャドーを通しての軌跡。

 だいぶ歪んだ刻印だが、
 しかし、それでも美しく輝く。

「まだ、これからだぁ! まだまだ死なんぞぉおお! 死ぬときは、必ず道連れにしてやる! ワシの正義をナメるなよぉおおお!」

 どこまでも輝きを増し続ける覚悟の結晶。
 『正義の化身』という重荷を背負い続けた男の意地とプライド。
 バキバキに血走った目に、逆立った全身の剛毛。

 ゼノリカは震えた。
 『もし、敵だったら』と思うだけで背筋が凍る、大きな背中。

 そんなカンツの背中を見て、

 ――遅れてやってきた『魔王の中の魔王』が、



「すばらしい、すばらしいぞ、カンツ」



 心底からの賞賛を浴びせる。
 続けて、その隣にいる『勇者の中の勇者』が、

「もちろん、他の者たちも、素晴らしいのですが……最前線の盾として、誰よりも傷ついたカンツにこそ、最大限の賛辞をおくりたいですね」

 そう言いながら剣を抜く。

 二人の登場を受けて、
 まず、天下の面々が、

「「「「「勝ったぁあああああああああああああああああっ!」」」」」

 爆発のような歓喜に包まれた。

 ここにいるすべての超人たちが、
 この瞬間に、『実家のような安心感』を覚える。

 ゾメガ・オルゴレアムと、
 平熱マン。

 あまたの超人が集まるゼノリカの中でも、
 群を抜いている三人の中の二人。

「ぼくが詰めるので、援護を任せていいですか、ゾメガさん」

「できるだけ中距離で闘ってもらった方がありがたい。『ミーティア』を撃つ時のリソースは、コントロールではなく、威力に割きたいのでのう」

「了解です。あと配下たちの指揮も、すべてお任せします。ぼくは、アレの足止めに全力を注ぎますので」

「了解じゃ」

 方針が決まると、すぐに実行。

 平熱マンは、そのふざけた名前とは裏腹に、
 すさまじく丁寧な『飛翔する剣撃』でウムルの動きを封じる。

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