センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
34話 ゴキブリが泡を吹いて倒れるしぶとさ。
34話 ゴキブリが泡を吹いて倒れるしぶとさ。
「あとは、ジャミを削り切れば終わりかな。『アンリミテッド・ヴェホマ・ワークス』は鬱陶しいが……ぶっちゃけ、『ギャグ漫画補正』の劣化版にすぎない。カンツが静かになれば、ゼノリカはもう終わ……ん?」
そこで、ウムルは足元に目をやった。
自分の足首を、カンツのボロボロの手が掴んでいた。
「さすがだな、カンツ。『己の背中でセンエースを体現する』などと豪語するだけのことはある。その状態で、まだ私に抗うか。この戦いがはじまってから、私は、お前を、すでに1万回ぐらい殺したんだが、まだ、当たり前のように立ち向かってくるとは……その根性は、センエースの劣化版と評価できるな。劣化版と聞くと聞こえが悪いかもしれないが、『センエースの劣化版』だけは話が別だ。その評価をいただけるやつはそうそういない」
そう言いながら、
ウムルは、カンツに向かって、
「異次元砲」
「がぁああああああああああああああああああああっっ!」
魔法で背部にでかい風穴をあけてみせた。
普通なら死ぬのだが、
カンツはまだ死なない。
本当に、しぶとい。
「ゴキブリはしぶとい、とよく言うが、貴様のしぶとさを前にすれば、全世界のゴキブリが束になってかかっても、泡拭いて倒れることしか出来ないだろう」
「ぎぃい……っ……こ……これ以上……ワシの家族を……殺させんぞ……守ってもらうばかりではない……ワシも……ゼノリカを……」
カンツは、ラリったような目でウムルをにらみつける。
もうとっくに限界を超えていて、気力の搾(しぼ)りかすだけで動いているような状態。
そんな状態の人間に出せる覇気ではなかった。
ウムルは、普通に気圧された。
「少しだけ、センエースを知ったことで、厚みが増したか……貴様が真にセンエースを知ったら……私ごときでは、間違いなく太刀打ちできないだろう……」
そこで、ウムルは、ニィと笑い、
(まあ、しかし、それは、『しょせんはヌケガラのシャドーでしかない私では』という話で、『本体』となると、また話は別。今も、世界の裏側では、『私の中心になるであろう器』が磨かれている……蝉原勇吾……私の理想……私にとっては、たったひとつの希望……私が望んだ極悪……すべての私が結集し、私という個が真に完成した時、私は、センエースを超える概念になる……)
と、そこで、
希望願望をいったん、すみにおいて、
ふと、カンツに対して意識を向けるウムル。
(最終的な視点で言えば、カンツの強さ自体は、カスみたいなもの……しかし、いずれは、カンツも、センの器になる……カンツの可能性が、センの一つになる……おぞましい話だ。……いつかたどり着くであろう、『ゼノリカに在籍する、すべての【正義の化身】を取り込んだセンエース』を……私は、本当に……)
遠い未来の自分に期待しながらも、
しかし、同時に、不安も覚える。
まるで『当たり前の人間』みたいだな、
なんて、そんなことを思い、自嘲をはさむウムル。
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