センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

26話 センエースの拳。


 26話 センエースの拳。

「言われなくても分かっている。お前ほど優秀なサポート役を失うわけにはいかないからな」

「ほんと、頼みますよ……私が死んだら、嫁さん、泣くんで……私、嫁さんを泣かすのだけはNGなんで」

 そう言いながら、
 ヒッキは、12体のオーラドールと束になって、
 アクバートとドナにバフをかけまくっていく。

 無節操に、容赦なく、すべてのステータスを上昇させていく。
 サポート系の魔法の全てを習得しているとまで言われている天才。
 彼に本気でバフを積まれた者は、本来の実力の倍ぐらいまでは引き出せる。

「相変わらず、いい仕事だ」

 アクバートは、ヒッキのサポートを称賛してから、


「――それでは、はじめようか――」


 一気に、ウムルとの距離を詰めた。

「私が保有するコスモゾーンレリック、ムナガラーは、鉤爪タイプの近距離武器。敵の血を吸えば吸うほど、その敵に対する火力が増していく……という微妙な特殊効果しか持たないハズレ枠。装備すると、パワーとスピードがそれなりに上昇する。接近戦タイプなら使えないことはないコスモゾーンレリック。装備すると、存在値が930まで上昇する。他に何か聞きたいことがあれば、質問を受け付けるが?」


 挨拶代わりに『暴露のアリア・ギアス』を積みつつ、
 適切な連打をくりだすアクバート。
 とにかく、ムナガラーに血を吸わせようとするムーブ。
 冷静に、正確に、最善手を積んでいく十席の序列一位。

 そんな彼に、ウムルは、

「コスモゾーンレリックに関しては、普通に知っているから、聞きたいことなど何もない」

 サラリとそう言いながら、
 アクバートの猛攻に対して、

「――閃拳――」

 小粋なカウンターをいれていく。

「ぐふっ!」

 顔面に思いっきりストレートを入れられたアクバート。
 鼻血が噴出して濃いアザができる。

「……お、重たい一撃だな……」

「そりゃそうだろう。センエースの拳だ。軽いわけがない」

「なぜ……貴様に……『センエースの拳』が使える……」

「私は強いから、貴様ごときを殺すのに、暴露のアリア・ギアスを積む必要はない。だから、教えてやらない」

「……それは残念だ」

 ちなみに、
 アクバートが前衛で暴れている間、
 ずっと、ドナが中距離からウムルに対して、デバフと魔法攻撃を放っており、
 後衛から、ヒッキが、ずっと、アクバートとドナのサポートをしている。

 それはそれは、見事かつ完璧な連携であり、
 そこらの壊れたモンスター程度であれば、
 何十体というレベルで沸き散らかしたとしても、
 余裕で対処できるレベルの超越的なチームワークだった、
 ――が、ウムルには届かない。

 カンツにすら勝ってしまった化け物相手に、
 小粋な連携程度が通じるはずがない。

 『終始、遊ばれている』ということに気づいたヒッキが、

「あのウムルとかいうカス、想像を超えて強い! やばいやばいやばいやばい、やばいぃいい! これ、死ぬぅううう! 殺されるぅうう!」

「うるさいわね。というか、カンツの回復はまだ?」

「中心がぶっ壊されているので、なかなか難しいんですよ!」

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