センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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25話 栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第十席。


 25話 栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第十席。

「この私ですら身がすくむ相手……そんな化け物を相手に、見事時間稼ぎの役目を務め切ったあなたには心から敬意を表する」

「カンツほどの超人を倒したほどの化け物……よくも、まあ、そんな相手に立ち向かえたものだ。ゼノリカに属する者は、子供も老人も関係なく、みな、一律に頭がおかしいということか」

 ドナとアクバートに続き、

「――私も、敬意を表するよ。心から」

 死んだ魚の目をしている不健康そうな顔をしたヒョロガリが一人。
 そのヒョロガリは、アモンをほめたたえた直後、
 しんどそうな顔で天を仰ぎ、

「ああ、逃げたい……勝てるわけがない……カンツを倒せるってことは、十席が束になっても敵わないってことじゃないか……もう、イヤだ、ほんと……どうなってんだ、この世界……めちゃくちゃだよ……つぅか、無敵で不死身のカンツに勝つとか、どういうこと? カンツにだけは勝てちゃダメだろ、常識的に考えて……」

 彼は、栄えあるゼノリカの天上、九華十傑の第十席序列九位。
 『ゼノリカの中で、無人島に一人だけ連れていけるなら誰を選ぶ』ランキングで、上位入選間違いなしと名高い男。
 サポート系のスペシャリスト、ヒッキ・エイストレイジ。

「ああ……ああ……いやだ……逃げたい……ずっと家にいたい……世界の喧噪なんか忘れて、嫁さんと、ずっと、抱き合っていたい……」

 などと泣き言を言っているヒッキに、
 ドナが、

「ゴチャゴチャ言っていないで、さっさと、オーラドールを出しなさい」

 そう命じると、

「……イエス、マム……」

 ため息まじりに、そう返事をしてから、
 12体のオーラドールを顕現させる。
 ヒッキは、『オーラドール・ラバー』という、分身系の魔法を強化するゴールドスペシャルを持つため、この12体のオーラドールは非常に強力。

 とはいえ、ヒッキ自体の存在値は320程度であり、
 『めちゃくちゃ強い』というわけではないので、
 直接的な戦闘ではさほど活躍しない。

 だが、別に問題はない。
 ヒッキは、完全なる後衛サポート職。
 それも、層が厚いゼノリカの中で、最高峰の支援能力を持つ超人。

 メイン職業「ヘルパー」
 サブ職業「万事屋(よろずや)」「アシスタントディレクター」「アシスタントマネージャー」

 自分がメインになることを望まない助手気質。
 他者のサポートを得意とする……というより、
 他者のサポートでしか真の力を発揮できない。

 ヒッキは、死んだ魚のような目のまま、ボソボソと、

「……私は、あなたたちと違って、コスモゾーンレリックとやらも持ってはいないので、前衛としては、一ミリも活躍できません。というか、普通にワンパンでやられると思いますので、しっかりと守ってくださいね。いや、ほんと、マジで頼みますよ。私、死にたくないんですよ。嫁さんのこと、まだ幸せにしきれてないんですよ」

 そんな彼の懇願に対し、
 アクバートが、

「言われなくても分かっている。お前ほど優秀なサポート役を失うわけにはいかないからな」

「ほんと、頼みますよ……私が死んだら、嫁さん、泣くんで……私、嫁さんを泣かすのだけはNGなんで」


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