センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
79話 すでに対価は払っている。今は収穫の時間。
79話 すでに対価は払っている。今は収穫の時間。
(あんたが苦しんでいるのを見るのが辛いという、こっちの気持ちも少しは考えろ!)
「お前の感情なんざ知ったことか! 俺は俺さえよければ、それで、オールオッケーという完成された人間なんじゃい!」
(あんたが背負っているものは重すぎるから、全部は背負いきれない。けど、それが理解できるからこそ、一緒に背負いたい。あんただけに全部を背負わせるのは嫌なの! だから、お願いだから、私を頼って!)
「頼ってきたさ。お前は俺の精神的支柱だ。お前がいなけりゃ、ここまでたどり着いてはいなかった。それが理解できるからこそ、お前にだけは背負わせたくない。お前がどう思っているかは知らんが、俺はすでに、お前から多くをもらっている。今は、必死になって、お前から借りた全部を返済しているところ。だから、これ以上、俺の借金を増やそうとするんじゃねぇ。言っておくが、俺には、今のお前が、悪徳な闇金に見えているからな。勝手に貸し付けておいて、過剰な暴利をむさぼっていく悪魔! この鬼畜! 魔女!」
(もらっているのはこっちの方で、そっちじゃ――)
と、また、さらに、熱が加速して、
ワーワーと、ケンカの勢いが増していく。
お互いの鼻息の粗さが加速して、乱暴に胸倉を掴まんばかり。
どっちも気が強いので、おさまりどころが見えない。
延々に加速する両者の熱量。
次第に話は、どっちの想いが強いか、という、
無限に終わらない、かつ、他者の視点では、
『ゲロが出るほどクソしょうもない領域』に突入したので、
『さすがに、これはアカン』ということで、
センエースの携帯ドラゴン『ルナ』が、
両者の間に割って入ってきて、
流暢な言葉でもって、
「――言い忘れていたけど、対価はすでに貰っているよ、マイマスター。ニャルのアリア・ギアスは、前払いしか受け付けていないから」
「キェエエアァアア、シャベッタァアアッ!」
「いまさら、おしゃべり機能ぐらいで、そんなに驚く必要ないでしょ。というか、あなたとルナは一つになっているんだから、ルナの機能は全部知っているよね?」
と、一刀両断してから、
「そんなことはどうでもいいから。とにかく、ニャルのアリア・ギアスを倍掛けすることはできないよ」
そんなルナのセリフに対し、センが怪訝な顔で、
「……え、マジでか……ていうか、対価はすでに払っているって、どういうこと?」
「言葉通りの意味だよ、マイマスター、あなたは、すでに、永遠の地獄を積んできた。200億3万年。その数倍、数十倍――そして、異次元同一体が刻んだ無限倍に、さらには、プライマルメモリに刻まれている幾億倍……」
「……」
「ここから先は収穫の時間。あなたが積んできたものが実る時」
そこで、ルナは、
『彼女たち』の方に意識を向けて、
「――そのことを、あなたたちも知っているはずだよね? なのに、さっきの茶番はなに?」
(旦那と話し合いがしたかっただけ。言いたいことは山ほどあるのに、平場じゃ、なかなか言えないことも多いから、この状況を利用させてもらった。それだけ)
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