センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
29話 なんでだぁ!!
29話 なんでだぁ!!
(――『10000倍』まで伸びたな。おめでとう)
ヨグシャドーにそう言われて、センは、
「……『無抵抗の可哀そうな女の小指をへし折って、肌を刻み、名前を彫りこんでいくようなダイナマイト級クズ男』にまでのし上がったというのに、まだ、マックスじゃないって、どういう状態?! あいつらの許容量、マジでおかしいだろ! ちゃんと限界まで嫌えよ! こんなカス男!」
夜の学校に、センの嘆きが響く。
「これ、もう無理だろ! あいつら、なにやったって、俺を限界まで嫌うことはねぇよ! おそらく、目の前で黒木を殺したとしても11000倍ぐらいで止まる気がする!」
(いや、黒木を殺すだけだと、10500がいいところだな)
「ころころ意見を変えんな! 黒木を殺せば12000倍までいくって言ったのはお前だろうが」
(あれは嘘――)
「嘘なんかい! お前、ほんと、嘘しか吐かんな、くそったれが! というか、マジで、なんでだ?! あいつら、なんで、そんなにも俺に甘いの?!」
(――『貴様に救われ続けている』という認知が、心の中心に刻まれているからだろう。無意識下に刻まれたその情動が、あまりにも深すぎて、あの女どもは、センエースという概念に対し、『純正の憎悪』を抱き切れない)
「リセットしきれていない記憶の残滓のせいで、あいつらは俺を恨み切れない、と。鬱陶しいな……表面上は、なんも覚えていないくせに、実質的な足だけは引っ張ってくるのかよ……本当に、俺をイライラさせるのがうまいやつらだ」
幾度となく『センの献身』を受け止めてきた彼女たちは、
毎度、毎度、心の底から、『センエースを忘れたくない』と願い続けた。
『祈るだけで願いが叶う』ということはめったにないが、
壊れるほど祈り続ければ、
コスモゾーンの指向性にテコを入れることも、
『100%不可能』というわけではない。
『無茶な願い』も、積み重なれば『無視できない質量』を持つようになる。
『無視できない質量にまでのし上がった彼女たちの祈り』が、
今、センの成長を全力で阻害している。
――つまりは、現状、すべてがカラまわって、まったくうまくかみ合っていない。
「このままだと、俺が、あいつらのヒモニートになって一生養わせるぐらいのことをしても、12000倍とかいかないんじゃね?!」
(ヒモニートになった場合、現在の10000倍から3000倍ほどにまで低下してしまうな。さらに、そこから、ヒモ生活を続けていくと、時間経過とともに倍率が徐々に下がっていき、最後にはマイナスになると予測される)
「なんでだぁ!」
(女とはそういう生き物だ。ダメな男ほどかわいいと感じる。尽くしたり、振り回されることに喜びを覚える。手間暇コストをかけた相手をいつくしむ。『プレゼントをくれた相手』のことは忘れても、『プレゼントを渡した相手』のことは忘れない。『貢いでくる男』のことは虫ケラのように扱うが、『自分が貢いだホスト』のことは王子様のように扱う。特に、出来のいい女ほど、母性や支配欲や独占欲が強く、ダメな男を好む傾向にある)
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