センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

81話 異世界転移無法。


 81話 異世界転移無法。

「他者をとことん利用して、おぞましい泥をすすってでも、がむしゃらに上へと這い上がっていくしかない」

(難儀な話や)

「まさしく」

 言葉を切って、
 二人は、魂を一致させる。

 グンと、膨れ上がる。
 何かが。
 こみあげてくる。
 深く、遠く。


「……ゴスペル・ヘブンズキャノン……」


 すべてが一致した。
 ただの運ではない。
 運命を食い破ってたぐりよせた可能性。



「……『純正(じゅんせい)/異世界転移無法(いせかいてんいむほう)』……今の俺に表現できる究極の最強」



 輝くシッポを魅せつける。
 狂気をまとった切り札。
 常軌を逸した可能性を感じる。
 その波動は、ギラギラとした殺気に満ちていて、
 『命の中心に宿る力強さそのもの』を表現しているかのよう。

 そんなソンキーに、
 ヨグは、

「確かに強くなった……全能力が底上げされている。だが、私に届いているとは思えないな」

「今、この段階で、俺が、お前を殺せるかどうかは問題じゃない」

「ん?」

「俺の中に刻まれた『舞い散る閃光の因子』が、ずっと騒いでいる」

「……」

「……『奪い返せ』、とわめいている。『回収しろ』と、やかましく」

「……」

「鬱陶しい道標。目障りな輝き。だが、使い道はある。この世で、俺が唯一認める『命の全てが抱く希望』の一等賞」

「……」

「返してもらうぞ。俺の『希望(ゴミ箱)』を。舞い散る閃光がいないと、キングボ〇ビーを押し付ける相手に困ってしまうんでなぁ」

 宣言した直後、
 それまでの速度を超越するソンキー。

「ヒーローは柄じゃねぇ。いつだって、俺は、ただ、我(が)を磨き続けるだけの強欲な修羅。世界の命運なんて厄介な責任(ゴミ)は、舞い散る閃光に、全て押し付けさせてもらう」

 でかいシッポが三つも生えて、
 質量的には重くなったはずなのに、
 破格の軽やかさでもって、
 ヨグとの距離をみじん切り。

 ヨグは、

(反応できない速度ではないが……)

 一瞬の中で、ソンキーのムーブを解析する。
 動きの質を読み取って、
 次の一手を予測する。

(亜空間に忍ばせた『異世界転移無法』の切っ先で死角から強襲――それが、私にダメージを与える可能性のある唯一の手)

 非常に、お行儀のいいムーブ。
 出来のいいAIみたいに、
 可能性の高い未来を選び取る。

 その思考に対し、
 ソンキーは、

「命の奪い合いは、相手の予測ってやつを、どれだけ裏切れたか……そういうゲームだと、少なくとも、俺は認識している」

 刻まれた時間の中で、
 ソンキーは、持論を展開しつつ、
 三つのシッポを切り離した。

 そのムーブには、さすがのヨグさんも、

「っ?!」

 一瞬、目を丸くした。
 理解ができない一手。
 完璧な悪手。
 悪手というか自殺行為。

 そう認識できた時にはもう一手遅かった。

 まっすぐ、懐に飛び込んできたソンキーは、
 右手を、とことん鋭利に硬質化させて、

「――【弧虚炉(こころ) 天螺(あまら) 終焉加速】――」

 極大なスペックを誇る神の魔法を使う。

 すべては一瞬の出来事。
 そんな、一瞬の中で、
 ヨグは、淡々と、

(圧縮の魔法か――いったい何を? いや、それより、回避を――できる? 不可能ではないが――)

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品