センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

71話 属性は幻影。


 71話 属性は幻影。

(コスモゾーンの禁域は、たった一つを破るだけでも莫大な時間と労力が必要……せやのに、『ワシを縛る限界』を殺そうと思えば、最低でも17以上のシステムの深部に食い込む必要がある……ぇ、えぐい……っ)

 クラっとした。
 眩暈がする。


(キツすぎる……しんどい……)


 どれだけ頭がよかろうと、
 思考すると疲れるのである。

 というか、思考の海に深く潜れば潜るほどしんどさは増す。

 今のトウシが、何よりしんどいと感じている理由は、

(コスモゾーンの暗号に慣れてきた今のワシやったら、出来んことではないという点が……なにより、しんどい……っ)

 不可能なら投げ出せばいい。
 だが、トウシなら出来てしまう。

(……これは、ワシにしか出来ん不可能……)

 だからこそ辛い。
 誰にも頼れない。
 たった一人で、ひたすらに苦しむことでしか道が開けない。

 真なる孤独の底で、
 トウシは、自分の頭脳に没頭する。

 限界を超えた回転速度が、さらに、ギチギチと危うい駆動音を、世界にとどろかせる。

「すぅぅ……はぁあ……うぅ……」

 脳のいたるところがアッツアツになる。
 脳脊髄液が蒸発してしまうのではないかと不安になるほど沸騰する。

 ぶっ壊れてしまいそうになりながら、
 しかし、トウシは、

(見えてきた……)

 気づけば、鼻血が流れていた。

(あと少し……もう少し……)

 バッキバキの充血した目で、

(……これで……いいはず……)

 暗号と向き合う。
 その結果、



(――よろしくお願いしまぁぁああすっ!)



 などと、テンプレを口にしながら、
 トウシは、第一関門を突破した。

 トウシは、間違いなく偉業を達した。
 とんでもない計算量を必要とする暗号を解き明かし、
 コスモゾーンの深部に食い込んだ。

 しかし、現実問題、彼は、最低でも17ある壁のうちの一つを突破したにすぎない。

 『望む未来』を奪いとるためには、
 あと、最低でも、16回は、同じことをしなければいけない。

 すでに満身創痍で、頭はクラクラしている。
 普通の人間だったら、とっくの昔に、
 泡をふいてひっくり返っているところ。

 だが、トウシは、奥歯をかみしめて、
 ダラダラと鼻血を垂れ流しながら、

(……また、めんどい暗算を要求してきやがってぇ……)

 コスモゾーンの暗号と向き合い続ける。

(携帯ドラゴンのスペックに関する領域の一部はハックできた……が、この程度だと、アラームを強化することぐらいしかできないな……)

 他にもいくつか強化できるポイントはあるが、
 超強力な化け物相手に有効な打点を増やせるわけではない。

(まあええわ……とりあえず、危機感知計測器の精度を、限界まで引き上げて……)

 と、携帯ドラゴンを強化していると、
 そこで、

「きゅーい、きゅーい!!」

 計測器の精度を上げたと同時、
 トウシの携帯ドラゴン・エルメスが大声で警告を叫んだ。

 マックスの音量。
 明らかに、スーパー異常事態。

「マジかぇ……」

 危機的状況にあると理解したトウシは、
 即座に、世界の状況をサーチする。
 計測器が感知したデータを深堀りして、
 これから何が起こるのか理解しようと必死。

 そのイカれた頭をフル回転させたことで、
 トウシは、これから何が起こるかを完全に理解した。

(とんでもなく膨大なエネルギー量の魔法攻撃……これは……剣翼型……属性は『幻影』と『切断』、狙いは首、ルーンは『爆発』……問題なのは、ターゲッティングの範囲……これは、まさか……全人類が標的? ……ふ、ふざけたマネを……)

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