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38話 無限将棋。


 38話 無限将棋。

「ルール型の領域……展開したのが貴様側である以上、『何をルールとするか』は、当然、私が決めることになる。そこは把握しているか?」

「もちろん、わかっとる。好きなルールにしてええ。どんなルールでも関係ないからな。平等な頭脳系ゲームやったら、ワシが負ける理由は一切ないからのう」

「たいした自信だが、しかし、私も、そうとうに強いぞ。強化されたのは、力だけではない。私は、頭も、アウターゴッド級なのだ。人間に負けるはずがない」

「そら、楽しみや。ワシは、頭脳系ゲームが強すぎて、これまでの人生では、一度も、まともなゲームになったことがないからのう。一回ぐらいは、白熱したいと思っとったところなんや」

 これまで一尾もまともなゲームになったことがないのは事実だが、
 しかし、白熱したいとは、さほど思っていない。

「で? どういうゲームにする? ルールが平等でさえあれば、あんたのオリジナルゲームでも、全然ええで」

「そうだな……では、『無限将棋』でいこうか」

「将棋は知っとるけど、無限将棋という名称は知らんなぁ」

「暇をもてあました神のゲームだ」

「……闇のゲームよりもエグそうやなぁ」

 そこで、ロイガーは、
 指をパチンとならした。
 魔法で、『電話帳のようなルールブック』を手の中に具現化すると、

「これが、最低限のルールだ」

 と言いながら、その鈍器のような書物を、
 トウシに向かって軽く放り投げる。

 受け取ったトウシは、
 さっそく中身を確認。

 無限将棋は、普通の将棋と、規模がケタ違い。
 マスの数は、500×500で
 駒の種類は10000以上。

 ちなみに、普通の将棋だと、
 マス数は9×9で、
 駒の種類、8種類。
 規模が、あまりにもかけ離れている。

(……大将棋よりもはるかにコマの種類とマスが多い……ただ、規模はでかいが、ルールは将棋と大差ない。覚えるのは、いくつかの固有ルールと、コマの動きだけ……)

「仮に、実力が拮抗した者同士が無限将棋をした場合、一局の決着がつくまで、数年から数十年は必要と言われている」

「ものすごい時間を無駄にする頭の悪いゲームやなぁ……神様、どんだけ、ヒマをもてあましてんねん……」

 言いながらも、トウシは、ルールブックを豪速で読み進めている。
 膨大な種類の『コマの動き』を、全て、頭の中に刷り込んでいく。
 と、同時に、どうすれば勝てるのか、このゲームの必勝法はどこにあるのか、
 そういう莫大な演算を必要とする複雑な思考も並列で行っていく。

「貴様がルールを覚えるまでの間、エキシビションで、そっちの女どもと打ってやろう」

 そう言いながら、
 ロイガーは、また、パチンと指をならした。

 すると、彼女たちの頭の中に、
 無限将棋のルールが完璧にインストールされる。

 トウシは自力暗記で、女子はお手軽インストールと、あまりに不公平――というか、完全にいやがらせの状況。

 突然、頭の中に、情報が流れ込んでくるという、
 その奇妙な現象に戸惑っている彼女たちを横目に、

 ロイガーは、

「これで、ルールは把握できたはずだ。さあ、打つぞ」

 そう言いながら、もう一度、軽く指をパチンと鳴らした。

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