センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

25話 全部、自力で構築する天才。


 25話 全部、自力で構築する天才。

 命乞いをしても無駄だということぐらいは分かる。
 トウシはバカではない。

 だからこそ、その『誰よりも豪速で回転する頭脳』を、
 これまでの、どんな時よりも、全力でまわして、
 この状況を打破する突破口を見つけようと模索。

(考えろ……もっと深く……もしかしたら、もう詰んどるんかもしれんけど……仮にそうやったとしても、せめて、死ぬまでは、思考を止めるな……恐怖はいらん……あとで、どんだけビビリ散らしてもええから、今だけは、この恐怖と真っ向から向き合え……)

 沸騰する頭脳。
 狂気の回転速度。

(何か…なにかぁ……っ)

 誰よりはやく、

(届け……見つけろ……答えを……なにかぁあああ!!)

 誰よりも高く。

 その結果、
 トウシの頭脳は、

(……あったっ……)

 ――届く。

(ありえない量と速度の演算が必須。だが、ワシなら出来る! これは、ワシにしか出来ん不可能や!!)

 それからは、高度な演算のオンパレード。
 とにかく、豪速で組み立てていく。
 どうすれば、
 今の理論を形に出来るか。

 それだけで頭の中がいっぱいの修羅となる。


 ――そんなトウシに、
 ロイガーは、

「もう、無駄話は終わりか? では、そろそろ死のうか」

 そう言いながら、右手を、トウシに向けた。
 その右手には、ギュンギュンと魔力が集まっていく。

 ソレが放たれてしまったら、
 トウシは確実に死ぬ。
 それがハッキリと理解できたトウシは、
 だからこそ、

「30秒、くれ!」

「ああ?」

「贅沢は言わん! 5分とは言わん! 3分とも、1分とも言わん! たったの30秒だけ、ワシに、あがく時間をくれ! ほんの30秒や! 頼む! そのぐらいの慈悲はみせてくれ!」

「貴様の頼みを聞いてやる筋合いなど一ナノたりともないのだが……」

 そう言いつつも、ロイガーは、

「……彼我の差を考えれば、30秒の猶予を与えたところで、何ができるとも思えんし……仮に、この危機的状況を、たった30秒でどうにか出来るのであれば、それはそれで見て見たいとも思う……」

 ぶつぶつと、そう言ってから、

「……戯れに、30秒だけ待ってやる」

 そう言いながら、
 右手に、さらなる魔力を投入していく。
 より強く、より深く。

 ロイガーの慈悲を受けたトウシは、
 すぐさま、F‐クリエイションを起動して、
 神字の打ち込みにかかる。

(ニューラルネットワーク補助システムをフル稼働して、『ワシの頭の中にあるすべての記憶』をデータ化っ!)

 どうすれば、それが実現できるか、
 そのイメージだけなら十分に出来上がっている。

 頭の中で、イカれた量の数式が飛び交う。
 人の限界を置き去りにした英知が暴走する。

(特異点を二つ生成し、電荷を加えてスピン――すべての速度を限界化――ティプラー重力正弦波内のイベントホライゾンにアプローチ――双子特異点リング通過のシミュレーションを実行――局所場の適合――検算しとる暇はない――ぶっつけでいく――相対性理論への反逆――F-クリエイションをフルで使っても、ワシそのものを通過させられるだけの穴をあけるのは、さすがに厳しい――となれば答えは一つ――ワシの記憶だけを……過去へと飛ばす!!)

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