センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

53話 新記録。


 53話 新記録。

 豪速で距離を殺したセンは、
 無数の拳をヨグにささげた。

 ヨグは、軽やかに、センの猛打を回避していく。
 鮮やかだった。
 華麗だった。

 明らかに、センを超えている。
 ヨグの数値は大したものだ。

 ――けれど、

「戦闘力の方はぁ! そこまで差がないんじゃねぇぇ?!」

 叫びながら、センは、さらに加速していく。
 確かにヨグは強い。
 センよりも高みにある。
 影すら見えない。
 数値の暴力はハンパではない。

 ――けれど、戦闘力ならば、影ぐらいは見えている気がした。
 そして、それは気のせいではなかった。

「おらおらおら、おらぁあああ! だんだん、呼吸が見えてきたぞぉ! こりゃ、一時間もいらねぇなぁ! 一撃いれるだけなら、火力もいらねぇしなぁあ!」

 どんどん加速していく。
 緩急をつけながら、
 『一撃』を、ヨグにささげるために、
 全身全霊で、

「神速閃拳! 神速閃拳! 神速閃拳! 神速閃拳! 神速閃拳! 神速閃拳!」

 神速閃拳は、火力的には微妙だが、発生速度がハンパではない異次元のジャブ。
 『一撃あてればOK』という戦場においては、何よりも頼りになる一手。

 ヨグの死角を求めてさまよいながら、
 どうにかしてスキをつくろうと神速閃拳をたたきこんだ。
 ほんの少しでもスキが見えれば神速閃拳をたたきこんだ。
 時折、何も考えずに、脳死で、神速閃拳をたたきこんだ。

「神速閃拳!」

 積み重ねてきた全部が、軽やかにきらめく。

 無数に撃ち続けた神速閃拳。
 下手な鉄砲でも数撃てばあたる。

 何百、何千、何万の拳を繰り出した結果、

「――っ」

 ほんのわずかにズレた体勢を見逃さなかったセン。
 コンマ数秒を何分割もした、小さな、小さなスキ。
 その合間を縫って、センは、火力的にはほぼゼロに等しい神速閃拳をぶちあてた。

「しゃあ、おらぁあ! あたったぞ、ごらぁああ! 俺の勝ちだぁああ! ひゃっはぁ!」

 アピールするように、過剰な大喜びを魅せるセン。
 そんなセンを尻目に、ヨグは、
 ニタァっと、黒く微笑んで、

「……23分か……新記録だな」

「あん? なんかいったか?」

「貴様が積んできた地獄には、ほとほと敬服する」

 そう言いながら、
 ヨグは、

           
           :
         〈* *〉
        [*****]
    [* * * * * * *]
「――/\**【【真・究極超神化7】】**/\――」
    [* * * * * * *]
        [*****]
         〈* *〉
           :
           

 さらに、一段階ギアをあげた上で、
 センの首から下を、右手でロックオンして、

「異次元砲」

 極大照射を放った。
 その結果、


「がっはぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」


 センの首から下が綺麗に消失した。

 首だけになったセンを、
 ヨグは、右手で、雑に掴み、


「……見事だった、センエース。貴様は、やはり、素晴らしい」

「ぶほっ……え、あれ…………ちょっと待って……ぇ、これ……俺……もしかして、死んでる……?」

「もう殺すが、まだ、ギリギリのところで生かしている。――『手刀を見逃さなかった人』を、『団長』が念魚で生かしていただろう? あの感じだな」

「……まじ……でか……てか……なんでだ? 一発あてたら……生かして返してくれるんじゃ……なかったの?」

「あれは嘘だ」

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