センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

40話 フラグ。


 40話 フラグ。

 死にゆく間際、
 才藤は、
 己の全てを振り絞り、



「――絶対に……諦めねぇ――」



 生命力をフルで暴走させる。
 憤怒の中に全てを込める。

「MPはもう尽きているのに、まだそれほど輝けるか……すごいね。オーラが圧縮されていくのが分かる。しかし、それじゃ、届かない。それじゃダメだ」

 言われなくてもわかっている。
 そう言いたげな目で、
 才藤はソルをにらみつけ、

「俺は祈る……」


 全ての魂魄を解放する覚悟。
 死を飲み込んで、
 もっと前へ、
 もっと向こうへ。


「俺の拳が、混沌を裂く光になりますように」


 祈りをささげてから、
 ニィと、黒く微笑んで、

「ぼくちゃんは……聖なる死神……ぼくちゃんの全部を、この拳にかける♪」

「最後の最後まで痛々しいね。けれど、だからこそ強く輝く。……君の願いを叶えよう。君の拳は、君の覚悟によって、常識を超えた力を手に入れた。さあ、くるがいい。君の全てをうけとめてあげるよ」


「聖なる死神の芸術を見るがいい♪ さあ、華やかに死んじゃえ……『メギドグリムアーツ・セイバーゼノリカレント』っっ!!」


 強力な体術。
 覚悟の全てを込めた、芸術的一撃。

「うぉっと」

 その拳は、
 ソルの腹部をさらっていった。
 細胞が消滅する。
 オーラが削られる。

 間違いなくダメージを与えた。

 ――しかし、

「うん……いい一撃だった。本当に……美しい一手だった。君の人生、君の地獄、君の想い、すべてが一点に集中していた」

「……」

「覚悟を込めた体術の極限……グリムアーツ……いいね、かっこいいよ。君らしさが詰まっている、いい厨二技だ。どこかで使わせてもらうよ」

 ノーダメージではなかった。
 才藤の拳は、ソルの腹部を貫いた。
 しかし、ソルは、軽く血を吐いただけで、
 死に至るほどのダメージは受けていない。


「がは……くそったれ……くそっ……た……」


 意識が遠のいていく。
 意識が熔けた分だけ、憤怒が増していく。
 自分に対する怒りが止まらない。
 結局、何もできなかった。
 その後悔の底で、
 才藤は気づく。

「……? ……ぁ……あれ……は……」

 才藤の目の前に『扉』が現れた。
 その扉は、キィと音をたてて開く。

 扉の奥から現れたのは……


(あいつ……確か……)


 20年以上前のことを思い出す才藤。


(……『真理の迷宮』のチュートリアルを一緒にやって……そのあと、消息不明になったヤツ……名前……なんだっけ……確か……セン……だったか?)

 下の名前までは流石に憶えていないが、
 上の名前だけは、かろうじて憶えていた。

 ――そのセンは、
 ボロボロで地に伏している才藤を見つけると、


「……なんか、大変そうだな。死にかけているじゃないか。ご苦労さん」


「……今まで……どこに……」

「この最奥の隣にあるデバッグルームで、この迷宮の開発者と殺し合っていた。いやぁ、しんどかったよ……まあ、でも、20年間、ひたすら闘い続けるっていうのは、すでに経験済みだったから、慣れたものだったけどな」

 ググっと、ストレッチをしながら、
 センは、周囲を観察する。

「もしかして、この世界、終焉間近的な感じ?」

「……というより……もうすでに終わった……」

「あ、もう終わってるんだ。じゃあ、お前、何してんの?」

「……無駄な抵抗を……しているだけ……」

「あ、そうなんだ。大変だな。ご苦労さん」

「……軽いな」

「重くても動きが鈍くなるだけだからな」

 などと、ファントムな言葉を口にしてから、

「さてと……詳細は知らんけど、どうせ、あいつをぶっ殺すってのが、元の世界に戻るための『条件』だろうから……サクっと殺すか……この20年で、俺は、えげつないほど強くなれた。もはや、俺に敵はいない。俺がガ〇ダムだ」

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