センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

32話 性格の問題で、『可能性のない奇跡』は望めない。


 32話 性格の問題で、『可能性のない奇跡』は望めない。

 センは、すぐさま、過去に逃げようとしたが、

「そう、慌てるなよ、センエース。もう少し、遊ぼうじゃないか」

 そう言いながら、クルルーは、胸の前で両手を合わせて、呪文を唱えた。

 すると、クルルーを中心として、空間魔法が広がっていく。
 外界から切り離して閉じ込めるタイプではなく、
 世界に対して『特殊な空間』をねじ込むスタイルの空間魔法。

 その特異な領域は、
 センエースのタイムリープを拒絶する。

(……っ……銀の鍵を封じられた……つぅか、このカギ、逃走用で使おうとして、うまく使えたためしがねぇな……くそったれがぁっ)

 過去に逃げられないと理解すると同時、
 全身の至る箇所から脂汗があふれ出るセンエース。

 現状の『ヤバさ』に魂が震えた。

(えぐい、えぐい、えぐい、えぐい……どうする、やばい、殺される……っ)

 あまりにも力量差が明確すぎた。
 今のセンエースがクルルーに勝てる未来は存在しない。

 『可能性』が残っている段階なら、
 センエースも、抗う気力を見せただろうが、
 しかし、

(俺が積み重ねてきた可能性は、マイノグーラとやりあった時、既に全部放出してしまった……ここから『先』を求めるのであれば、相応の時間を積む必要がある。……『これからソレをしよう』と思っていた矢先で、こんな状況に陥るとは……っ……ぐぅ……)

 センエースは『奇跡』に頼らない。
 いつだって、信じるのは、自分が積み重ねてきたものだけ。

 ソレがない状態で『先』は求められない。
 奇跡の乞食になる気はない。

 だからこそ、

(どうする、どうする、どうする……っ)

 バッチバチに焦っているセンエース。
 わずかばかりも見えない未来。
 失神しそうになる。

 そんなセンに、
 ニャルが近づいて、

「準備が足りていない状態での絶望。君にとっては、もっとも辛い地獄だろう?」

 ニタニタと笑いながら、

「センエース。君は、異常に時間をかけて準備をするタイプのイカれたド変態だ。誰にもマネできないレベルで『時間』を積み重ねて、強制的に未来を奪い取るスーパー脳筋スタイル。だけれど、いつもいつもいつも、適切な準備ができるわけじゃない。突発的でカツカツの事案に対し、さてさて、君はどこまで抗える?」

「……」

「ちなみに言っておこう。ソウルゲートは許さない。今の君に必要なものではないからね。今の君に必要なのは、時間を重ねる覚悟ではない」


「ソウルゲートって……なんだっけ? どっかで聞いたことがある気がするが……忘れたな……俺は物覚えがよくないんだ。教えてくれ」


 そんなセンの問いかけを、
 ニャルは完全シカトして、

「センエース。これだけは覚えておいてくれ。ここで、君が、インフィニットクルルー・ニャルカスタムに勝てなければ、世界は終わる」

「……」

「死ぬ気で乗り越えてみせろ。そうでなければ、未来はない」

 好き勝手に、自分の言いたいことだけを乱雑に言い捨ててから、
 ニャルは、その場から離れていった。

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