センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

54話 センエースの可能性。


 54話 センエースの可能性。

「前金は死ぬほど払ってきた! せめて、覚醒もう一回分は貰う!! そうじゃないと、さすがに、割にあわねぇええ!!」

「いくらなんでも、それ以上の覚醒などあるわけが――」

「おぉお! きたぞぉおお!」

 マイノグーラの呆れを置き去りにして、
 センは、自分自身の輝きにみとれる。

「ふははははは! やはり、俺は格が違った! さもありなん! だって、頑張ってきたもん! 今日まで、バカみたいに頑張ってきたもん! このぐらいのご褒美がないと、やってられんよなぁあ! だははははははは!!」

「……まさか……本当に……」

 センの奥から湧き上がる光が、どんどん膨らんでいく。
 勘違いでも思い込みでもなく、
 センの可能性は、まだ残っていた。

 センが積み重ねてきた地獄は、
 そう簡単に底をついたりしない。


「いくぞ、ごらぁあああ! 刮目しやがれ! これが、俺の可能性だぁあ!」


 膨れ上がる光と一つになるセン。
 センのオーラが、より際立っていく。





「――超虹神気ぃいいいっっ!!!」





 虹神気を超えた虹神気。
 覚醒して、覚醒して、覚醒して、
 さらにもう一つ覚醒した姿を魅せつけるセン。

 より、キレッキレになるオーラが、
 センの魂魄に補正をかける。

 センの全てが加速する。

「見たか、ごらぁああ! これが俺の可能性だ! エグいだろ! 震えるだろ! 言っておくが、この程度じゃねぇぞ! このセンエースは、覚醒するたびに、パワーがはるかに増す! その覚醒を、俺は、まだ2回も残している! その意味がわかるなぁ?!」

 などと、興奮気味に叫んではいるが、
 しかし、内情は、なかなか冷静だった。
 その理由は一つ。

(……感覚で分かる……今の段階だと、もうこれ以上は積めねぇ……もう、俺が『これまでに溜めてきたもの』は『全部』吐き出してしまった……これで届かなければ、普通にゲームオーバー)

 センエースは、奇跡や偶然には頼れない。
 それが強みでもあるが、それこそがセンエースを阻む壁でもある。

 自分が積んできたものと向き合うことだけが全て。
 ――ゆえに、『積んできたものを全て吐き出してしまったあとの状態』になると、一ミリたりとも未来を望むことができない。

 いつだって、ロマンチストではなくリアリスト。

 ここから先はむき出しの死闘。
 届かなければ死ぬだけの世界。

 『どちらが強いか』というドシンプルな算数の領域。

(絶対に終わらせる……絶対に超えてやる!! アウターゴッドを超えてやる!!)

 余計な欲望をかなぐり捨てて、
 まっすぐに、マイノグーラと向き合うセン。

 速度もパワーも跳ね上がって、
 だから、その圧力は、マイノグーラに冷や汗を流させる。

(はやいっ……これは、やばいっ)

 心の中でそうつぶやきつつ、
 奥歯をギュっとかみしめるマイノグーラ。

 警戒心が膨れ上がる。
 目の前に立つ男が、
 『脆弱な虫けら』から『自分を殺せる獣』になった、
 と本能が理解した。

 まだまだ、数値的には矮小。
 マイノグーラの方が大きい。
 しかし、センの怖さはサイズじゃない。

(もはや、遊んでいる余裕はなし。即座に一刀両断しなければ――)

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