センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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85話 美少女の後頭部にグーはご法度。


 85話 美少女の後頭部にグーはご法度。

 ――その日の夜、センは、とりあえず、黒木に集合をかけ、
 アイテム探索をすることにした。

 『ヨグシャドーの無茶ぶりに従ってばかり』というのも、
 なんだか、色々と癪ではあるものの、
 しかし、安易にさからって、
 本当に、『本体とやら』にご登場されても困るので、
 『とりあえず、今のところはしたがっておこう』という結論に至り、
 センは、これまでのループ通り、
 黒木とアイテム探索に向かった、
 ――のだが、

「えぇ……なんで、紅院たちもいるの?」

 待ち合わせ場所には、黒木だけではなく、
 紅院、トコ、茶柱の三人も、
 当たり前のような顔をして待っていた。

「アイテム探索なら、人手がいた方がいいでしょう?」

 と、当然のような顔をしていう彼女に、
 センは、心の中で、


(……普通にダルいが……しかし、今の俺の現状を考えると……)


 一週間以内に四人同時攻略が必須の現状では、
 黒木単騎を相手に夜を消費するのは明らかに悪手。
 むしろ、こうなってくれてラッキー。

 ――そんなことは分かっているのだが、
 ぬぐいきれないダルさが、センのメンタルに襲い掛かる。

(……しんどい、しんどい……)

 紅院、トコ、茶柱の三人の顔を見たことで、
 あらためて、
 『四人同時にどうにかしないといけない』という。
 ウザすぎるミッションを自覚して、
 大量のゲロを吐きそうになるセン。

 そんなセンに、
 茶柱が、

「やっぱり、来て正解だったにゃ。ほら、見て、センセーのこの顔。ツミカさんのような美少女と夜の学校デートが出来ると知ったとたん、ニヤニヤが止まっていないにゃ」

「……そうだな。『お前らのカチ込みがしんどすぎてゲロ吐きそう』という点に目をつぶれば、おおむね、茶柱様の言う通りである可能性が微粒子レベルでは存在していなくもない」

 ファントムトークで流そうとしたセンに、
 茶柱は、追撃の一手を決め込んでくる。

「うむ、くるしゅうない! 跪(ひざまず)いて、クツを舐める権利を与えるにゃ!」

「……ほんとにナメたろか? このクソアマが」

「き、きしょいにゃ! ツミカさんのクツを舐めたくて舐めたくて仕方がないとか! きっ、きしょいにゃぁあああああ!」

 などと怒鳴り散らかすおバカさんに、
 それまで黙っていたトコが、ブチギレ顔で、

「やかぁあしぃわ、ぼけぇええ!」

 と叫びながら、茶柱の後頭部に、そこそこ力強いグーパンをいれていく。

「いったぁ! いや、えぇえ?! いや、トコてぃん、グーはダメにゃ! 美少女の後頭部にグーはご法度にゃ! そこまでいくと、もはや、ツッコミの領分を超えて、普通に傷害にゃ! 今日明日中に被害届を提出する構えにゃ!」

「おう、やれやれ! いっそ山ほど検事を連れてこい! 紅院家御用達の最強弁護団で迎えうったらぁ!」

 そこで、紅院が、渋い顔で、

「いや、トコ……そんなくだらない争いに、ウチの弁護団を使おうとするのはやめてくれる」

「あんたのもんはあたしのもの! あたしのものを、あたしがどうしようと、あたしの勝手じゃい!」

「……なんてまっすぐなジャイアニズムなの。いっそ、すがすがしいくらいの邪悪さ。……こんな危ない子を引き取るべきじゃなかったわね」

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