センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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38話 図虚空が、超絶パワーアップしたぞぉ!


 38話 図虚空が、超絶パワーアップしたぞぉ!

「準備はできた。さあ、こいよ、ヨグシャドー。俺の全部で受け止めるから……遠慮せずに、ぶっ放してこい」

 ヨグシャドーは、ニっと微笑むと、



「――異次元砲――」



 溜め尽くした魔力とオーラを解放した。
 膨大な質量でセンに襲い掛かる照射。
 エネルギーの暴走。
 まるで、猛り狂ったドラゴンのような輝き。

 全てを飲みつくそうとする邪神のエナジーに、
 センは、

「――月華一閃――」

 静かな輝きで合わせた。
 一点集中。
 点滴岩をも穿つ。

 研ぎ澄まされた横一文字。


 キィィィィィィィィイイイイイン……
 と、光を裂く音が世界に響き渡った。

 奇跡がどうとか、
 友情パワーがどうとか、
 そういう、お上品な冗談ではなく、

 ――バカ丸出しで積み重ねてきた泥臭さの結晶。

 ある意味で『醜悪極まりないみっともなさ』でもって、
 センは、
 ヨグシャドーの異次元砲を、

 ――ブチ殺してみせた。



「美しい」



 自身の照射を切り裂かれたヨグシャドーは、
 とても眩しいモノを見る目で、
 ボソっと、そうつぶやいた。

「今の異次元砲は、『私に許された存在値』の大半をつぎ込んだ。それを、一手でねじ伏せてしまうとは……貴様の器は底知れない」

 そう言いながら、
 ヨグシャドーは、
 センの目の前まで、
 ゆったりとした歩を進め、

「私も、見てみたくなった。貴様の夢と妄想――その先を」

 そう言いながら、
 ヨグシャドーは、センが持つ図虚空に触れる。

「私は、所詮、影にすぎないが……しかし、『可能性の一端』は担っている。カケラにすぎなくとも、確かに一部ではある。今後、私は、貴様と共に在る。拒絶の意志を示すのは自由だが、しかし、その想いが認められるとは思わぬことだ」

 そう言いながら、
 粒子状になると、
 勝手に、
 図虚空の中へと溶け込んでいく。

「身勝手なやっちゃな……ま、力を貸してくれるっていうなら、拒絶する理由なんざ、こっちにはないが」

 そう言いながら、
 センは、ヨグシャドーと一体になった図虚空を見つめる。

 質量が増したのを感じた。
 持っているだけでもヒリついてくる。
 別に、図虚空が『おしゃべり』になった、
 というワケではないのだが、
 しかし、だいぶ主張が強くなった気がした。

 ――ただ、

「ん……なんか……思ったより、強くなってない気が……」

 ヨグシャドーを取り入れた割には、
 そこまで強くなったという気はしなかった。

 主張は強くなったが、
 しかし、それとコレとは別と言われた気分。

 ほんのりと風味が増した程度の強化。
 隠し味程度の上昇率しか感じない。

「存在値の大半をつぎ込んだと言っただろう。今の私は、ただの搾りカス。戦力的な期待はしない方がいい」

「……『敵の時は強いけど、仲間になると弱くなる』系のアレはRPGじゃ珍しくないが……ここまで、シッカリとそれを体現されると、いっそ、すがすがしいな」

「戦力的な意味では期待しない方がいいが、しかし、探索面では、大いに役にたてるぞ」

「ほう。というと?」

「ふふん、聞いて驚け。私を取り込んだことにより、図虚空の『銀の鍵を索敵できる範囲』が、なんと『17ミリ』も増加した!」

「……うれしくて、涙が出るよ……」


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