センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

26話 そして顕現する、虹色のニーチャン。


 26話 そして顕現する、虹色のニーチャン。


「心配するな、薬宮」


 どうやらセンは、ストレッチを終えたらしく、
 背筋を伸ばし、まっすぐな目で、トコを見つめ、

「まあ、たぶん、勝てんだろうけど……でも、まあ、うん。なんやかんやで、どうにかなるような気がしないでもない。知らんけど」

「あかん! こいつ、ヤバイ! ただのサイコや!」

 頭を抱えて絶望にひたるトコ。

 そんなトコに、センは堂々と、

「それは違うな。俺は、ただのサイコじゃない。激的に終わっているサイコだ」

「やかましわぁ! なに、キショいこと、ドヤ顔で言うてんねん! 形容詞の強度にこだわっとる場合か!」

「こだわっている場合なんだよ。俺の中ではな」

 そう言いながら、精神を統一させる。
 全力でオーラを練り上げながら、

「どこにでもいる『ただのサイコ』だと『アウターゴッドの相手』はつとまらねぇ。『とことん終わっている俺』だけが……この『クソったれな絶望』と向き合える」

 いつもは、『どこにでもいる普通の高校生』を名乗るくせに、
 土壇場では、『とことん終わっている変態』を名乗るという、
 あまりにも二枚舌がすぎる男、それがセンエース。

 いつだって予測不能、
 いつだって奇想天外。

 『だからこそたどり着いた世界』がある。
 その全てをむき出しにする覚悟を決める。

 チリチリと、
 空気がヒリついていく。

 様子が変わったことに、
 薬宮たちは気づく。

 エンターテインメントの時間は終わった。
 ここからは、命で命を洗う時間。



 ――まるで、『センが整う』のを待っていたかのように、
 いびつなジオメトリがパリィンとはじけた。



 弾けたカケラは、
 荘厳な粒子となって、
 華麗な渦(うず)をまきながら、
 ゆったりと、空へ昇っていく。

 天に寄り添うように、
 厳(おごそ)かにまたたいていた粒子は、
 いつしか、
 生命のシルエットを描き出す。

 無名の霧に包まれて、
 最果の絶対領域を刻み込む命の影。


 ――そして、顕現。


 人型の姿をとった化け物。
 虹色に発光しているローブを纏いし、
 透明の肌をした、ゾっとするほど美しい青年。





「ここは……『認知の領域外』か……」





 虹色の青年は、周囲を見渡しながら、
 ボソボソと、誰に言うでもないトーンで、


「いや、違う。『異なる』わけではないが……やはり、少し違う。これは、なんだ? 随分と特殊な『銀十字』のカルマ。盲目が霞む本能のノイズ。既定の時間軸ではない。錯綜している。絡まっているが、事故ではない」


 そこで、目を閉じて、天を仰ぎ、

「おそらく……仕組まれた? いや、違うな。これは……懇願? ……シャドーとはいえ、この私を引きずりだすとは……いったい、誰だ? ニャルのバカか? いや、あのバカが、こんな手間暇かかる面倒を実行するとは思えない。いや、私がそう思っているからこそ、逆に、あのバカは仕掛けてきうる――」

 最初から最後まで、一貫して、わけのわからないことをホザく虹色青年に、
 センは、

「ちょっと、そこの虹色なニーチャン。マキシマムで厨二力を展開させているところ悪いけど、少しだけ、俺の話を聞いてくれる?」

 あえて、軽いノリで、そう声をかけていく。
 そんなセンに、虹色青年は、

「貴様は?」

「俺? 見ればわかるだろ? どこにでもいる普通の高校生だよ。こんにちは」

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