センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
70話 さあ、全てを喰らい尽くそう。
70話 さあ、全てを喰らい尽くそう。
「オメガモンスターを召喚するしか能のないクソ装置の分際で、誰に指図してんだ。俺の行動は、俺の意志で決める。つぅか、てめぇの、その、『俺を手のひらの上で転がしている感』が、死ぬほどムカつく」
「……かはっ……」
大量の黒い血を吐き出すオメガシャドーに、
センは、
「俺は頂点にいる。俺を自由にできるのは俺だけだ。俺以外は、俺という概念を支える道具にすぎない。命とは、俺のこと。俺のためだけに、この世の全てが存在している」
ぶっ飛んだ表情で、
ぶっ飛んだことを口にしてから、
センは、オメガシャドーの魂魄にくらいつく。
オメガシャドーの全部を、雑に飲み干してから、
「今から、俺はゼノリカを喰らい尽くすが、しかし、それは俺の意志だ。断じて、てめぇの手のひらの上で踊るわけじゃねぇ。俺は俺の意志で、ゼノリカを奪いとる」
ニィと、黒く微笑んでから、
「ああ……自由だ……俺は、今、完全なる自由の中にいる……実感する……誰にも縛られず、何モノにもとらわれず……ただ、豊かで……ただ静かで……」
ブツブツと、中身のない言葉を口にしつつ、
「さあ、いこう……ぜんぶを手に入れる。ゼノリカを喰らい、世界を喰らい、命の全てをくらい……俺は、俺を完成させる」
世界を睨みつけ、
宣言する。
「世界よ。俺という最強の命を、自身の『レコードの中心』に刻みこめ。……俺はセンエース。『命』の『答え』だ」
その宣言に呼応するかのように、
センの目の前に、
ゲートが出現した。
外へと繋がっているゲートだと、
即座に魂魄が理解した。
センは、まっすぐに、前だけを見て、
ゲートの向こうへと歩を進めた。
★
外に出ると、
そこでは、運営スタッフの一人が待っていて、
「――素晴らしい速度だ。まさか、こんな短時間でクリアできる者がいるとは」
「……」
きょろきょろとあたりをうかがうセンに、
スタッフは、
「名前を聞いておこう。エントリーナンバー17番。君の名前は?」
その問いに対し、
センは、
「センエース」
堂々と、そう名乗った。
「……え?」
当たり前のように、そう聞き返してきたスタッフ。
自分の耳を疑って、
「すまない。もう一度言ってくれ」
「俺の名前はセンエース。全世界で最も優れた魂魄を持つ男だ」
「あー……なるほど、聖典教の信者か。……なるほど、なるほど……いや、しかし、いくら信者とはいえ、主の名前を騙るというのは、いかがなものか……『神のように高潔かつ勇敢でありたい』と願うのが、信者の『正しい在り方』だというのは理解できなくもないのだが、しかし、主の名前を騙るというのは、また、だいぶ意味合いが違うと思うのだが?」
などと言ってくるスタッフに、
センは、
「ごちゃごちゃうるせぇよ」
そう言いながら、スタッフの腹に、
「うぼっ……」
ワンパンをぶちこんでいく。
一瞬で気を失い、その場に倒れこむスタッフ。
気絶しているスタッフと、自分の拳を、
交互に見つめてから、センは、
「……んー? 普通に殺すつもりで殴ったんだが……生きているな……」
無意識に手加減してしまったということに気づき、
その事実に対してイラっとする。
「……まだ、俺は、不自由だったころの俺に縛られているのか……」
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