センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

53話 死体漁り。


 53話 死体漁り。

「私には関係ない」

「……いや、アレを召喚したのはお前だから、お前は、ガッツリと関係者……というか、普通にゴリゴリの加害者なんだが」

「いつだって加害者は身勝手で、被害者は泣き寝入りを強いられるもの。それが、世の条理」

「いや、真理っぽく言われても……改善していく努力をしてみようぜ。そうすれば、少しは、世の見え方が変わってくるはずだ」

「それでは、さっそくはじめよう。ゆけ、オメガバスタードラゴン」

「こんな時だけ、御託なしですか?! もう少し、心の準備を――」

 などと叫ぶセンの嘆きを完全シカトして、
 オメガバスタードラゴンは、センに向かって猛攻を仕掛けてきた。

「どっひゃぁあああああっ!!」

 パワー・スピード・硬度、
 すべてが尋常ではないモンスターの中のモンスターが、
 今、まさに、センを殺そうと暴れ散らかしている。

「いやいやいやいやいや! えぐい、えぐい、えぐい!」

 ギリッギリのところで、
 どうにか回避しているものの、
 しかし、全身全霊を賭した全力緊急回避で『やっと』なので、
 そんなものを永遠に続けられるわけがなく、
 また、仮に、ド根性フルブーストで避け続けられたとしても、
 回避を続けているだけでは、永遠に、この地獄は終わらない。

(ちょっと待て、マジか……ヤバいって……あのドラゴンの動きを見る限り、おそらく、『図虚空ありで、ギリ勝てるかどうか』ってレベル……上位のS級GOOと張るレベルの暴力……そんなものを『今の俺』がどうにかできるわけ――)

 『ゆっくりと嘆いている時間』などあたえてくれない。
 オメガバスタードラゴンは、次から次へと、
 猛攻の波状攻撃を仕掛けてくる。

 スレスレでかわしながら、センは、

(……どうする……どうする……)

 極限まで脳の回転速度が上がっていく。
 目がバキバキになって、神経が、世界を俯瞰でとらえだす。

 絶体絶命を前に、ゾーンへ突入するセン。
 ただ、いくら、超高位の集中状態になったとしても、
 『回転速度を上げる』までが限界で、
 『対抗できるだけの出力』を捻出することは不可能。

(か、勝てない……死ぬ……)

 理解に届くと、
 より深く、視界の中の『世界』が立体に見えてくる。

 ピカピカと光りはじめる。
 インパルスが走る。
 思考速度が、常軌を逸し始める。

 そんな、高速化された脳が、
 視界の中から、『可能性』を見つけ出す。

(――ゴブリンの死体から……何か……奇妙な――)

 オメガ火ゴブリンの死体をよく観察してみると、
 薄く淡い光が漏れていた。
 目をこらさないと見えない程度の小さな粒子。

 チラチラとまたたいて、
 センの心を惹きつける。

 ――センは、

「くぉおっ!」

 どうにかこうにか、オメガバスタードラゴンの攻撃をかいくぐり、
 オメガ火ゴブリンの死体めがけてダッシュする。

 なんとかオメガ火ゴブリンに近づくと、
 センは、その死体を掴み上げ、
 走りながら、ガサガサッと、だいぶアラく漁(あさ)り散らかす。

 すると、オメガ火ゴブリンの胸の中に、
 『粒子の塊』とでもいうべき『何か』が、ドクドクと、脈動しているのに気づいた。

コメント

  • 閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

    ――51話目のコメントにもかきましたが、一応、こっちにも。47話目のコメントに書けなかったので、こちらに。 天さん、 閃という漢字を見るだけで涙目になるほど、 この作品を好きになってくださって、本当に感謝!! 中二病は、センもかかっているん病気なので、 わるいものではないかとw ……いや、センのレベルまでいくと、問題ある気がするw センエース最高とまで言っていただき、本当に感謝!!!

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