センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

33話 第一アルファに関することなんか知らん。


 33話 第一アルファに関することなんか知らん。

「根本の話をしよう。さっきのニーチャンの話を聞く限り……この世界におけるセンエースって神が『ただの偶像』で、『実在はしない』って点だけは、よく理解できた。実在しないものが転生したりしねぇだろ。これが、すべての答えだ。証明するまでもなかった」

「わかりませんよ。もしかしたら、私が創作したソンキーが、どこかの世界に転生しているという可能性だって、ゼロではありません」

「可能性『だけ』の話をしだしたら、それこそ『ゼロに確定される方』が圧倒的に少ない。コンマの下にゼロをいくつつけてもいいなら、なんにだって可能性はある。そんな無限の話をしても意味がねぇ」

「意味がないとは思いませんが、そこそこ不毛であるという点に関しては同意しますよ。今の私たちには、答えにたどり着くための手段がないので」



 ★



 センと黒木は、ダラダラと会話を交わしつつ、
 1時間ほど、周囲を探索してから、

 『愚連』と呼ばれている『自警団っぽい集団』の屯所(とんしょ)に向かい、
 そこにいたゴリマッチョに、『ラピッドからもらった身分証明書』を見せつつ、
 第一アルファからの漂流者であることを伝えると、

「じゃあ、役所に行って、書類を書いてきて。もう、すぐそこだから」

 そう言って指さされた場所を横目に、
 センは、ゴリマッチョに、

「書類を書いたら、すぐに帰れるのかな?」

 と尋ねると、
 ゴリマッチョは、首を横に振りつつ、

「すぐは無理じゃないかな。第一アルファは、少し特殊だから、実際に帰れるまで、数か月ほどかかる可能性がある……とは聞いている……のだが、正直、具体的なところは知らない。第一アルファからの漂流者はめったにいないからな」

「……あ、そうすか」

 そこで、ゴリマッチョは、後ろを振り返り、

「パルティン、お前、確か、第一アルファからの漂流者に会ったことあるって言っていたよな? その漂流者は、どのぐらいで、元の世界に帰れたんだ?」

 と、同僚に声をかけた。
 机で事務処理をしていたパルティンは、

「知るか。警邏(けいら)中に一回、会ったことがあるだけで、その後、どうなったかすら知らん。興味もない」

 と、しんどそうにそう応えてから、
 すぐさま事務処理に戻る。

 ゴリマッチョが、苦笑いを浮かべて、

「役に立てなくて悪いな。俺らは、ゴリゴリの実働部隊だから、本格的な事務職の連中みたいに、細かい法規までは抑えていないんだ。いや、もちろん、俺らにだって、ご覧の通り、事務処理業務はあるわけだから、その辺も一通り知っておくべきなんだが、鍛錬と仕事が忙しすぎて、そっちにまでは、なかなか手が回らなくてな……今も、処理しなければいけない書類がバカみたいに多くて……これでも、かなり簡略化されたという話だが、しかし――」

 と、愚痴モードに入ってしまったので、
 センは、

「あ、はい。OKです。役所いってきます。あざっした!」

 と、軽快に流しながら、
 愚連の屯所をあとにした。

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