センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
19話 そりゃないぜ、図虚空さん。
19話 そりゃないぜ、図虚空さん。
(俺だけの感覚じゃなかったか……『コレ』は、この世界が『そういう特質をもつから』なのか、それとも、他に何か理由があるのか……)
現状では、絶対に解決しえないであろう疑問を胸に抱くセン。
そんなセンの目をジっとみつめて、黒木が、
「――それで? どうしますか?」
そう問いかけると、
センは、晴天の空を見上げて、
「さぁて、どうしたもんかねぇ……」
フンワリと答えを濁した。
『終わらない地獄』に飲まれ、
『アウターゴッドの高み』を知ったことで、
普段よりもだいぶ『慎重(臆病)』になっているセン。
『可能性という言い訳』を模索しすぎて、
『即決』を躊躇してしまう。
『土壇場の勇気』と『努力が出来る器』はエゲつない男だが、
『平常時の決断力』に関しては人並み以下なところがみられる。
『軍の士気を底上げする王』としては劇的に優秀でも、
『軍の指揮を担う将』としては、それほど芳(かんば)しくない。
そんなセンに対して、
黒木は、平坦な表情で、
「とりあえず、遠くにうっすらと見えている『都市』に向かってみるというのはどうでしょうか? 町を目指すのは、RPGの基本でしょ?」
「この世界がRPGなら、そうするべきなんだろうが……」
などと、いったん、クッションとなる言葉を置いてから、
「まあ、でも、結局のところは、それがベストかなぁ……」
などとつぶやきながら、
センは、黒木と共に、
遠く見えている『都市』を目指すことになった。
★
『都市』を目指して、『軽く舗装されている道』を歩いていると、
道中で、ガッツリと、モンスターが襲い掛かってきた。
「おいおい……なんか、当たり前のように、『ドラゴン』が出てきたんだけど……マジでか……」
そのドラゴンは、まさに、『ザ・ドラゴン』といった感じで、
『神話生物』特有の、奇妙なおどろおどろしさはなかった。
『バスタードラゴン』と呼ばれる『最上級』のドラゴン。
モンスターの中でも最高格である『龍種』の『最上級』なので、
当然、えげつないほどに強力なモンスターである。
「炎のブレスか……テンプレだねぇ」
などと言いながら、
センは、バスタードラゴンのブレスを回避する。
予備動作が大きく、距離があったので、そこまで難しいムーブではない。
一般人でも、集中していれば、回避程度は普通に可能な攻撃。
(……動きを見た感じ、A級のGOOより弱そうだな……火力は、それなりに高そうだが、全体的に動きが重い……)
装甲オバケで、パワーもダンチで、魔力も激高い……
そんな『かなり優秀なモンスター』であることは間違いないのだが、
しかし、スピードがたりない。
サクっと殺してしまおうかと、
図虚空を呼ぼうとしたのだが、
(ん?)
そこで、センは、ようやく気付く。
(……え? ……えぇ……っ)
図虚空を召喚できないという異常事態。
今、この瞬間まで、『異世界転移』という緊急事態に対して戸惑いすぎて、確認を怠っていたのが致命的な仇となる。
「うそだろ?! え、マジで?! いやいやいや、図虚空さぁん! きてぇ!!」
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