話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

2話 ぜんぶ地獄。


 2話 ぜんぶ地獄。

「…………苦しい…………」

 その弱音を聞いたことで、
 センは、ハッキリと理解する。

(ああ……カズナは……もうダメだな……)

 『センエースという光』にしがみついているから、
 ギリギリのところで、人間性を保てているものの、
 しかし、もはや、カズナは壊れてしまっていた。

 まだ完全には壊れ切ってはいないだけで、
 『勇気の器』はすでに壊れてしまっている。

(……ここまで、よく、ついてきてくれた……)

 センは、心の中で、そうつぶやきながら、

「もういい。お前は十分、頑張った。だから、もう、頑張らなくていい。あとは、俺がやる。ゆっくり休んでいろ」

 そう声をかけた。

 そんなセンの言葉を受けて、
 カズナは、

「……っ」

 捨てられたペットのような顔をして、
 抑えきれない涙をこぼしながら、

「……ま、まだ……頑張れます……ついていきます……最後まで……絶対……」

 奥歯をかみしめて、
 両の袖で、涙をぬぐいながら、

「弱音を吐いて……申し訳ありません……二度と……弱音は吐きません……申し訳ありません」

 すがりつくように、
 必死になって、

「ですから……どうか……見捨てないで……」

 『切り捨てないでほしい』と嘆願する。
 グシャグシャの顔で、
 『壊れた器』を必死にかき集めながら、


「……お願い……捨てないで……」


 つい、ドン引きしそうになるほど弱弱しい声。
 そんなカズナに対し、センは、

「捨てるとかじゃねぇよ」

 『メンヘラ彼女に別れを切り出す彼氏』のように、
 慎重に、言葉を選びながら、

「それ以上がんばったら、お前が、完全に壊れてしまう。それがいやだってだけの話。……本当に、見切りをつけたとか、そういうワケじゃないんだ。お前は、もう、十分すぎるほど働いてくれた。そんなお前に、完全精神崩壊なんてされたら、こっちとしても、しんどすぎるから、休んでいろと言っている。そんだけ」



「……頑張れます……まだ……私は……まだ……」



「いや、だから……ああ、もう……ちっ……」

 心底うっとうしそうに舌を打ち、
 ガシガシと頭をかきむしりながら、

(会話になんねぇ……意図が通じねぇ……)

 まさにメンヘラ彼女との別れ話。
 一方通行の平行線。


「陛下、どうか、命令を……お願いします……なんでもしますから……お願いします」


 ついには、その場で土下座をしはじめるカズナ。

 その痛々しい姿を横目に、
 センは、
 悲痛の表情で、
 天を仰ぎ、



「……悪かった……」



 ボソっと、そうつぶやいた。

 その謝罪の意味がわからないカズナは、

「……陛下が謝罪する必要など……どこにも――」


「――恨んでくれていい。悪かった、付き合わせて」


 そこまで聞いたことで、
 カズナは、センの『想い』を理解した。


 ――あの日、
 最初に剣翼が舞った日。
 もし、センがカズナを助けなければ、
 カズナも、他の大勢と同じく、
 ループの記憶をリセットできたかもしれない。

 ――と、センは思っている。
 ということに、カズナは気づいた。

 だから、

「私は……」

 カズナは、大粒の涙をボロボロとこぼしながら、

「陛下の剣になれたことを……心から……誇りに思っております……っ……だから……お願い……あやまらないで……っ」

「……」

 センは、空を見つめたまま、

(……地獄だ……)

 心の中で、そうつぶやいた。

「『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く