センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
81話 いつもニコニコ舞い散る怪盗ノゾ=キマ。
81話 いつもニコニコ舞い散る怪盗ノゾ=キマ。
「――くっっそぉおおっっ!!」
今までの剣翼よりも、明らかに鋭い動きで、
まるで、センをあざ笑うかのように、
黒木の首から上をさらっていった。
続けて、その場にいる全員の首が、次々と吹っ飛んでいく。
少々、タイムラグがあるので、
最初は、阿鼻叫喚がこだましていたが、
しかし、数秒後には、
無音となった。
いや、完全な無音ではなかった。
時折、どこかで、車が爆発する音が聞こえた。
血だらけのグラウンドで独り、
センは空を見上げて立ち尽くす。
「……つらい……なぁ……」
つぶれた本音が、かすれてにじむ。
空は、バカみたいに青かった。
★
――17日の朝。
目覚めたセンは、
「図虚空、こい」
図虚空を召喚し、
「……初期化は……されていないな……」
『強化が引き継がれているか』を確認してから、
机の上に置いてある袋に手を伸ばし、
中に入れてあるカギをかぞえる。
「……52本……全部あるな……よし……」
必要最低限の確認が終わったところで、
スマホが鳴り響いた。
確認しなくとも、相手が誰かは分かる。
「今回の初手は、どうしますか、陛下」
「……同じだ……黒木を呼んでくれ……」
心の中で『また同じ説明をするのか……』と、
ウザさ100%のタメ息をつきつつも、
センは、奥歯をギュっとかみしめて、出かける準備をする。
★
黒木との交渉を終えたあと、
昼の間に、センは、
近所のホームセンターで購入した目出し帽を装着した状態で、
裏金庫へと向かった。
もし、強化パーツが『使われていない状態』で元に戻っていたら『かなりの胸アツ展開だな』などと思いながら、軽くワクワクしつつ、裏金庫を破ったが、中はカラッポだった。
(……ないかぁ……)
うなだれていると、
センの目の前に、エアウィンドウが出現して、
そこに、紅院正義の顔が映し出された。
『……貴様は何者だ? どうやって、その金庫に入った? これだけの警戒網を敷いていれば【ルパ〇三世でも潜入は困難である】という自信があったのだが……正直、今、私は、心底から驚いている。どうやって中に入ったのか、本当に、一から十まで懇切丁寧に教えてもらいたい気持ちで一杯だ』
「何にだって、穴はあるものさ。それだけの話だ」
『なるほど、真理だな』
と、つぶやいてから、
紅院正義は、
『一つだけ、君に頼みがある。そこにあるチップは、君にとっては、何の価値もないものだ。盗まないでくれ』
「……もし、盗んだら?」
『君を殺さないといけなくなる』
「おだやかじゃないね」
『その金庫に侵入出来た君の怪盗スキルは、絶賛に値する。その実力を、ぜひ、買い取らせてもらいたい。【紅院家専属のスペシャルエージェントになる】と約束してくれるのであれば、そうだな……年俸8000億でどうだ? 紅院家が抱えている【裏稼業の人間】は山ほどいて、誰もが超高給取りだが、それと比べても、頭二つ抜けている額だ。それだけ、君を高く評価していると理解してもらいたい』
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