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26話 茶柱祐樹。

 26話 茶柱祐樹。

 地に落ちた灰は、チラチラと揺らめいて、淡い光を放ち、
 やがて、結集して、
 いつしか、実体のないユラユラしている影をつくりだした。
 その影は、揺らめきながら、黒い涙を流している。



「茶柱罪華。感じるか? 分かるか? これは……貴様の弟『茶柱祐樹』の思念だ」



「っ?!」

「特別にしゃべれるようにカスタムしておいた。さあ、少し話すといい」

 ウムルがそう言った直後、
 祐樹は、

「……い、痛い……痛みしか……感じない……こんな重さ……耐えられない……誰か……助けて……」

「ぇ……なに……これ……」

 意味が分からず困惑するツミカに、
 ウムルは、

「こんなものは『ただの幻影』で『本物なんかじゃない』……と切り捨てたければ好きにしろ。信じるか信じないかは、貴様しだいだ。ただし、正式に言っておく。私の名にかけて誓う。そいつは、本物だ。間違いなく、貴様の弟『茶柱祐樹(ちゃばしら ゆうき)』の残留思念」

 ――ユウキの思念は、たゆたいながら、

「……い、痛い……なんで……こんなに痛い……ぁあ……ダメだ……ムリだ、耐えられない……壊れてしまう……誰か……誰でもいい……助けて……あぁ……っっ」

 のたうちまわっているユウキの姿を見て、
 罪華は、真っ青な顔で、

「し、思念ならば、肉体はないだろう! となれば、神経も細胞も失っているはずなのに! な、なぜ、こんなにも痛みを感じている?!!」

「さあ、それは知らん。私は顕現させただけだ。正直、私も、少し引いている。ちなみに、『強い心残り』が死後の魂を苦痛で縛るというのは、よくある話らしいぞ。私は経験したことないから、実際のところは知らんが」

「……っ」

「まあ、そんなことはどうでもいい。本番はここから。今から、私は、こいつを邪炎で包む。深き邪気に包まれた貴様の弟は、永遠の地獄を彷徨うことになる。今はまだ、痛い痛いと口に出せているが、口を開くことさえ出来ない地獄の底を知ることになる」

「やっ……やめっ……な、何を言っている! なぜ、そんなことを――」

「なぜ? 決まっている。貴様が望んでいるからだ」

「望んでいない! あんた、バカか?! 話を聞いていなかったのか?!」

「貴様の本当の望みは、この思念から解放されること。私にはわかっている。私は神だからな」

「勝手な解釈をするな! あんたは、『猿の手』か! ふざけるなぁああ!」

 叫びながら、
 茶柱は、メギドを剣に変形させつつ、
 ウムルへと切りかかる。

 当然だが、

「……『心があるふり』をするのは、もうやめろ、茶柱罪華。貴様に、そんなものはない。貴様は壊れている。私には分かる。貴様は私と同じだ」

「わかった気になっているヤツが、一番、なんにもわかっていないってのが、この世の定説なんだよぉお!」

 そう叫んだ直後、
 茶柱は、




「トランスフォーム! モード・GOO/レベル5!!」




 必死の形相で叫んだ。
 すると、緑の光がまたたき、一瞬で、高品質の龍化外骨格が、彼女の体を包み込む。

 『紅院美麗の全力』を『遥かに超越した姿』に変身すると、
 茶柱は、

「その子に、指一本、触れるなぁああああ!!」

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