センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

17話 コズミックホラー。

 17話 コズミックホラー。

 ウムルは、ユラリと、妖艶に、
 静かな武を構え、

「とりあえず、まずは、手合わせ願おうか」

 そう言うと同時、
 ウムルの姿が、センの視界から消えた。



 ――『その理解』が、
 センのインパルスを強烈に刺激する。
 際限なく沸騰する。
 限界を超えて、命が煌めく!



「どっこいっしょぉ!!」



 右ナナメ後ろ。
 完全なる死角から拳を突き出してきたウムル。
 そんな豪速の不意打ちに対し、
 センは、100%の精度で合わせてみせた。
 限りなく最小の動き。
 半身で回避しつつ、ウムルの腕を両手でつかる、
 と同時に、人体の限界を超えた速度で、
 腰をギュンッッと回転させて、


「ぬぅおっ!」


 思いっきり、地面にたたきつける!
 『今のセン』の十八番(おはこ)!
 地球を鈍器にするカウンター。

 ――魂ごとすりつぶす勢いで背負い投げを決めたセンだったが、
 しかし、

「……狂気的な戦闘力だ。貴様の武は、コズミックホラーと言ってもいい次元」

 ダメージが入っていないわけではない。
 しかし、『しゃべれなくなるほどのダメージ』ではなかった。

 また、ウムルはセンの視界から消える。
 センの足元からスっと消えて、
 十メートルほど離れた場所から出てくると、
 パッパッと土ボコリを払って、

「体力と物理耐性には自信があるのでね。そうそうは死なんよ」

「……」

「貴様の『さっきの投げ技』を基準にするならば……そうだな……10秒に一回のペースで23万年ほど、休みなく、私を投げ続ければ……体力自慢の私でも、まあ、死ぬかな」

「……」

「嘘だと思うなら、ためしてみるかね? 『本気で挑戦する』というのであれば、付き合ってあげてもかまわないよ」

「やるわけねぇだろ」

「おや? あきらめるのかな?」

「いや、あきらめるとかの話じゃねぇんだよ。俺が今、やるべきことは、現実的に、てめぇを殺す方法を考えることであって、23万年かけて、お前を背負い投げし続けることじゃねぇ」

 勘違いしてはいけないことが一つ。
 『あきらめない』と『叫び続けること』は、
 センエースの『一要素』であって『全て』ではない。

 『あきらめない』と叫び続ける『だけ』ならば、
 そこらの『発狂したジャンキー』にも出来なくはない。

 『何も積んでいない怠け者』でも、
 『何も考えていないただのバカ』でも、
 『あきらめない』と叫び続ける『だけ』なら、
 『最低限の根性』と『切羽詰まった状況』、
 という前提さえつめれば不可能じゃない。

 センエースを語る上で、最も重要なのは、
 『どうすれば、この閉塞した状況を打破できるか』と、
 最後の最後まで、
 『自分が持つすべてのスキルと覚悟』を照らし合わせた上で、
 『MAXの熱量を保ちながら考え続けることができる』、
 という点。
 それこそが、センエースに刻まれた信念。

「もし、俺が不老不死だったら、その選択肢も視野にいれるが、俺は、100年前後で死ぬ。となれば、考えるべきは、100年以内にお前を殺す方法を見つけるか、もしくは、寿命を延ばす方法を見つけるか。現状、後者に着手するのは難しい。となれば、必死になって前者を追求する方が合理的」

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