センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

15話 『センエース』VS『親衛隊』。

 15話 『センエース』VS『親衛隊』。

 ――その日の放課後、
 帰り支度を済ませたセンが、
 校舎の外に、一歩、足を踏み出したところで、


「閃一番(せんいちばん)だな」


 と、『上級生らしき男子生徒』に、
 そう声を掛けられ、
 センは、

「違います」

 そう言って、
 その男子生徒の横を通り抜けようとするが、

「嘘をつくな」

 グっと顔を近づけてくる男子生徒に、
 センは、

「俺の名前はセンエースです。あなたが探しているのは、センイチバンさんでしょ? だったら、あなたが探している人は、俺ではないです。というわけで、さようなら」

 と、言って、逃げようとするセンに、
 男子生徒は、少し顔を赤くして、

「クソみたいなキラキラネームしやがって!」

 と、奇妙な逆切れをかましてくる。

「俺に言われても……親に言ってくれよ」

「お前から言っておけ!」

「はーい、そうしまーす。……ではー」

「だから、逃げようとするな!」

「だからぁ! ちゃんと、親には言っておきますってぇ! 『あんた、ヤバいな。大概にしろよ、色々』って、ちゃんとぉ!」

「そんな用件で呼び止めたわけないだろ! いいから、黙ってついてこい!」

(……めんどくせぇなぁ……)

 正直、『なんの理由』で声をかけられたのか、
 おおよその見当はついているため、
 できれば、はぐらかして、ウヤムヤにしたかったのだが、

(……薬宮たちと同じ班になってしまった以上、『この手の面倒』からは逃げきれない……はやめに整理しておいた方がいいか……)

 そう判断し、
 センは、黙って、上級生についていくことにした。



 ★



 つれてこられたのは、
 あまりにもベタな、体育館裏だった。
 完全な死角になっているワケではないが、
 少なくとも、見通しはよくない日陰。

 そこには、10人ほど、ガタイのいいコワモテな男子が集まっていて、
 その中のリーダー格と思われる、
 最も顔面がイカつい男――『佐田倉』が、

「とりあえず、当日は休め」

 と、なんの前置きもなく、
 センの顔を見るなり、
 そんな発言をブチかましてきた。

 その態度が、あまりにも高圧的かつ不遜だったため、
 センは、普通にイラっとしてしまい、
 だから、

「……はい?」

 と、
 『何言ってんだ、お前、バカか?』とでも言いたげな、
 ほとんど『煽っていると言っても過言ではない声と態度』を見せつける。

 この状況下で、そんな態度をとれるセンの様子を見て、
 佐田倉は、一瞬で、
 『ただのモヤシではない』
 と判断した。

 だからこそ、

「俺は空手と柔道をやっている。どっちも、一応、黒帯だ。……あとは分かるな?」

 と、ブレずに、徹底して詰めていく。

「……えーっと……」

 ――センは賢くないが、バカじゃない。
 だから、全部、わかっている。

 なぜ、呼び出されたのかも。
 佐田倉が何を言いたがっているのかも。

 全部、ちゃんとわかっている。
 だけれど、
 というか、むしろ、だからこそ、

「……『強いんですねぇ』って褒めればいいんすか? それとも『知るかボケ、だからなんやねん』ってツッコんだらいいんですかね?」

 ――センは、見た目ヒョロガリのモヤシだが、
 しかし、過剰なほどプライドが高いので、

「すんませんねぇ……俺、人間関係を限界まで軽視して生きているので、相手の言いたいことを察する能力が決定的に欠落しているんですよ。言いたいことがあるなら、含みをもたせたりせず、一字一句正確に言葉を並べてもらえません?」



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