センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
49話 永き時空を旅した敗北者。
49話 永き時空を旅した敗北者。
「いやいや、センエース。お前の方が凄い」
「いやいや、オメガなんとか。お前がナンバーワンだ」
互いに互いを賞賛しあう、
なんともほほえましい光景。
――男同士の言葉と拳のぶつけ合いは、
どんどん加速していき、
「センエース。お前はアレだ。可愛げがない」
「オメガなんとか。お前はアレだ。重すぎる」
言葉を取り繕う余裕すら、
だんだんと、なくなっていく。
「俺には、まだ、人間味があるが、センエース、お前にはない」
「俺には、まだ、軽やかさがあるが、オメガなんとか、お前にはない」
拳の嵐が激しくなっていく。
両者とも、
こめかみに、ほんのりと『怒りマーク』を浮かべて、
『自分の方が、お前よりはマシな気がする』と言い合う。
――そんな、なんとも不毛な時間が続く、続く。
センが、
「オメガ、お前は女の趣味が悪そうだ」
と切り出せば、
オメガは、
「センエース、お前は単純に性格が悪そうだ」
と切り返す。
「オメガ、お前はストーカーっぽい顔をしている」
「センエース、お前はシリアルサイコっぽい顔をしている」
「オメガ、お前、根本的な視野が狭いだろ」
「センエース、お前、普通に頭悪いだろ」
「オメガ、お前、実はビビってるな」
「センエース、お前、童貞だな」
「……」
「……」
互いに一瞬、間をおいてから、
深呼吸の後に、
「ヘタレ泣き虫!」
「イカレ偏屈!」
ポコスカ、ポコスカ、
と、お互い、心も体もノーガードの総攻撃。
映像だと、超高次の戦闘をしているのだが、
文章に表すと、
とたんに、知能指数の低い中高生のケンカのような、
非常にしょうもないシーンに思える不可思議な状況。
――数分という時間をかけて、
まっすぐな武を交わし合う両者。
そこに雑味はなかった。
驚くほど噛み合う。
重なり合うみたいに、
ピッタリと呼吸が一致する。
まるで鏡。
もっと言えば、万華鏡。
ツインミラーシステムのオールドタイプで、
オブジェクトはコテコテのスターダスト。
はた目には、ズレて、重なって、乱れて、
けれど、核となる色彩だけは、決して移(うつ)ろわない。
とても、とても、歪な共鳴。
心が二重になったような、
明確に不愉快な錯覚。
(なんだ……これ……この奇妙な共振は、いったんなんだ……)
闘いの中で、センの魂魄がどんどん静かになっていく。
そして、それは、オメガも同じだった。
まるで、おたがいが、お互いを調律しあっているよう。
異なる二つの周波数が、
次第に、一つにまとまっていく。
(命が……整っていく……っ……)
あまりにも不可思議が過ぎる情動。
暖かいような、けれど、凍えるような。
自律神経をワシ掴みにされているみたいに、
半強制的に、命の芯が整理されていく。
「お前は……」
だから、
というワケでも、
実のところは、
ないのだけれど、
――センは、
「お前はダレだ?!」
答えを求めてしまう。
欲しいのは言葉じゃない。
けれど、人は言葉以外で繋がれない。
魔法を使っても、根本の部分は変わらない。
人は、人を、完全には理解しえない。
「さっき言っただろ。敗北者だよ。ただのな」
「いやいや、センエース。お前の方が凄い」
「いやいや、オメガなんとか。お前がナンバーワンだ」
互いに互いを賞賛しあう、
なんともほほえましい光景。
――男同士の言葉と拳のぶつけ合いは、
どんどん加速していき、
「センエース。お前はアレだ。可愛げがない」
「オメガなんとか。お前はアレだ。重すぎる」
言葉を取り繕う余裕すら、
だんだんと、なくなっていく。
「俺には、まだ、人間味があるが、センエース、お前にはない」
「俺には、まだ、軽やかさがあるが、オメガなんとか、お前にはない」
拳の嵐が激しくなっていく。
両者とも、
こめかみに、ほんのりと『怒りマーク』を浮かべて、
『自分の方が、お前よりはマシな気がする』と言い合う。
――そんな、なんとも不毛な時間が続く、続く。
センが、
「オメガ、お前は女の趣味が悪そうだ」
と切り出せば、
オメガは、
「センエース、お前は単純に性格が悪そうだ」
と切り返す。
「オメガ、お前はストーカーっぽい顔をしている」
「センエース、お前はシリアルサイコっぽい顔をしている」
「オメガ、お前、根本的な視野が狭いだろ」
「センエース、お前、普通に頭悪いだろ」
「オメガ、お前、実はビビってるな」
「センエース、お前、童貞だな」
「……」
「……」
互いに一瞬、間をおいてから、
深呼吸の後に、
「ヘタレ泣き虫!」
「イカレ偏屈!」
ポコスカ、ポコスカ、
と、お互い、心も体もノーガードの総攻撃。
映像だと、超高次の戦闘をしているのだが、
文章に表すと、
とたんに、知能指数の低い中高生のケンカのような、
非常にしょうもないシーンに思える不可思議な状況。
――数分という時間をかけて、
まっすぐな武を交わし合う両者。
そこに雑味はなかった。
驚くほど噛み合う。
重なり合うみたいに、
ピッタリと呼吸が一致する。
まるで鏡。
もっと言えば、万華鏡。
ツインミラーシステムのオールドタイプで、
オブジェクトはコテコテのスターダスト。
はた目には、ズレて、重なって、乱れて、
けれど、核となる色彩だけは、決して移(うつ)ろわない。
とても、とても、歪な共鳴。
心が二重になったような、
明確に不愉快な錯覚。
(なんだ……これ……この奇妙な共振は、いったんなんだ……)
闘いの中で、センの魂魄がどんどん静かになっていく。
そして、それは、オメガも同じだった。
まるで、おたがいが、お互いを調律しあっているよう。
異なる二つの周波数が、
次第に、一つにまとまっていく。
(命が……整っていく……っ……)
あまりにも不可思議が過ぎる情動。
暖かいような、けれど、凍えるような。
自律神経をワシ掴みにされているみたいに、
半強制的に、命の芯が整理されていく。
「お前は……」
だから、
というワケでも、
実のところは、
ないのだけれど、
――センは、
「お前はダレだ?!」
答えを求めてしまう。
欲しいのは言葉じゃない。
けれど、人は言葉以外で繋がれない。
魔法を使っても、根本の部分は変わらない。
人は、人を、完全には理解しえない。
「さっき言っただろ。敗北者だよ。ただのな」
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