センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

46話 いくぞ、センエース。殺してやる。

 46話 いくぞ、センエース。殺してやる。

「ホロウユニバース‐システム発動。ナイトメア・ユニット、オープン。我が身を守れ、マキシマイズ・ドリームオーラ」

 あらゆる攻撃の貫通値を数倍に跳ねあげるシステムを発動させ、
 飛行制御性能を爆発的に上昇させるユニットを広げ、
 ほとんど無敵になれる防御壁を展開させる。

 際限なく膨れあがる魂魄。
 世界を飲み込むような怒涛の威圧感。

「――センエース。覚悟の質量だけで言えば、お前が最強だ。しかし、勝敗は別だぞ。俺の全部を賭せば、お前を殺すことも不可能じゃない」

「俺に用件があるんだろ? だったら、殺すのはマズいんじゃないか?」

「何度も言わせるな。俺に殺されるようなカスに用はねぇ」

 そう言うと、
 オメガは全身に力を込めた。



「いくぞ、センエース。殺してやる」



 淡々とした会話をブッタ切るように、
 特に目立った開始の合図もなく、オメガは飛び出した。

 次元を裂くような豪速。

 残像だけが、認知の領域内に深い傷跡をつけていく。
 人の目では追えない知覚の地平面。

 神の目をもってすら、
 かすみがかっているカゲロウ。

(……疾(はや)いっ……重いっ……)

 積み重なった拳が、センの腹部に触れる。

 弾けて、混ざる。

 高次の圧力が、ズンと腹の底に響く。
 センはたじろぐ。

(尋常ではない強さ……『方向性』こそ違うが、この『深み』は、ソンキーに匹敵する……)

 次手の予備動作に入ったオメガ。
 呼応するように、
 センは、回避の流れに乗っていく。

 ゆるやかに、鮮やかに、
 最善手を並べていく。

 ――空間を駆ける二つの神。
 八方で轟音だけが暴走している。

 無限の応酬。
 神速の拳たちが舞い散る。

 炸裂し、弾けて、破砕する。
 バカになったギアで、ケイデンスを底上げする。

 断絶(だんぜつ)の重複(ちょうふく)。
 色彩を超越した幻想。

 ――美しく儚い『仄(ほの)かな一瞬』が世界を満たしていく。
 命が輝く。

「――異次元砲――」

 ほんのわずかな隙間を縫って、
 センは、『置き』の極限魔法を放った。

 オメガは、それを好機とみて、



「――オメガバスティオン――」



 流れるように、
 両手の底で、
 センの異次元砲を転がすと、
 キンッ、
 と、弾けたような音が響いて、

 センの異次元砲が霧散する。

「っ?!」

 明確に動揺するセンエース。
 つい、目を丸くして、体が動揺に硬直する。

 ――その甘さを、オメガは見逃さない。

 センの懐に飛び込み、
 グンッッ!!
 と、思い切り踏み込んで、
 オメガは、



「――閃拳――」



 恥ずかしげもなく、
 センの技を盗用していく。

「が……はっ!」

 腹にブチ込まれた閃拳。
 それは、決して、単なる猿マネではなかった。

(狂ったように重い……っ)

 眩暈(めまい)がした。
 体が、くの字になる。
 脳が揺れた。
 全身が乱される。

 ――ビリビリと、心がしびれている。

 そんなセンに、
 オメガは言う。

「こいつは、いい技だな。名前はダサいが」

「……ダサくなかったら意味がねぇ」

 そう言いながら、
 センは、グっと顎をあげて、

「そんなことより……お前、さっき、俺の異次元砲をどうした?」

「当たったらウザそうだったから消した」


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