センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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23話 スカウト。

 23話 スカウト。

「わかるか、カス野郎! これが、生まれの違いだ! 貴様のようなカスでは、何十・何百、何千の時を積もうと超えられない壁! 私は、その壁の向こうにいる! なぜならば、貴様と違い、選ばれて生まれてきたからだ!」

 気持ちよさそうに、自分の出自をうたうクリミア。

「選ばれていない貴様は、ただ奪われる! すべてを! 抵抗もできないまま! これが、この世界の真理! 私だけが尊いという、この世界の答えなのだぁああ!」

 叫びながら、
 センの顔面を思いっきり殴りつける。

「ぐぶはぁ!」

 センは、豪快に血を吹き出しながら、
 フラつき、よろめていてから、

「ぐ……ふっ……」

 ばたりと、その場に倒れこんだ。

 クリミアの目にうつるのは、
 正式な敗者の姿。

 純粋な、弱者の武様。


「ふん……カスが」


 クリミアがそう吐き捨てた直後、

 センは、


「……よいしょ……っと」


 ムクリと起き上がって、
 服についたホコリを払う。

 その姿を見て、
 クリミアは、一瞬だけ『驚いた顔』をしたが、

「……ほう。驚いたな。というか、感心した」

 『掘り出し物』を見る目で、センを凝視する。

「それなりに、力強く殴ったのだが……ふふ、なかなか根性があるじゃないか。あれほどの攻撃をその身に受けていながら、まだ意識を保っていられるとは」

「ああ……根性だけは、昔から、よく褒められるよ。自分でも、そこだけが唯一の自慢だと思っている」

「空間魔法が使える肉壁として……使えなくもなさそうだな。どうだ? 私の道具になる気はあるか? もし、望むのであれば、使いつぶしてやってもいいぞ」

「……あんたに敵意をみせた段階で、俺は死ぬしかないんじゃないの?」

「使えるコマなら話は別だ。一般人である貴様は気づいていないだろうが、最近、巷で、妙な事件が相次いでいる。別に『おそれ』をいだいているわけではないが、私は、かすり傷すらおいたくない。使える壁は、何枚あってもかまわない」

 その発言を受けて、
 センは、

「一から十まで『意味不明にブッ壊れている』ってわけじゃなく、人間としての『一般的な視点』も持ち合わせているのか……」

 誰にも届かない小さな声で、
 ブツブツと、

「武に関しても、決してまっすぐではないが……一応は『積んだ跡』が見られた。となると、こいつは……生まれた時から壊れていたワケではなく、徐々に歪んでいったパターンかな。もう少し『はやい段階』で会っていれば、更生の余地も、ゼロではなかったかもしれないけれど……もう、手遅れ臭いなぁ。……『歪んだ理由』が何であれ、ここまでにやってきたことが、さすがに酷すぎる」

「なにをブツブツとほざいている。私の問いに、さっさと答えろ。どうするのだ? 私の肉壁として働くか? それとも――」

 と、そこで、センは、
 堂々と、『自分』を言い放つ。



「悪いが、俺は誰の下にもつかない。
 俺は常に孤高。
 いつだって、俺は独(ひと)り、無間地獄に立ち尽くす」



 そんなセンの『自分』を聞いて、
 クリミアは、ハンっと、鼻で笑い、

「もろい考え方だな。一人の力など、たかが知れている」

「真正クズのくせに、まあまあの正論をはくじゃねぇか。いや、むしろ、真正だからこそか? この辺の真実に関しては、よくわからんね。俺も結構なサイコさんだが、お前とは方向性が違うからな」

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