センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

61話 ここはだれ?

 61話 ここはだれ?

「……ぃ、いや、速度は上げたけど、魔力もオーラも、さほど込めていないから、こんなんで、気絶するワケないじゃん……」

「……」

「ウザいって。起きてよ」

「……」

 『気絶アピールが止まらないチャバスチャン』に背をむけて、
 アモンは、ロコに視線を向け、

「……どうします?」

 問われたロコは、
 ため息まじりに、片手で頭をかかえながら、

「……起きなさい、チャバスチャン」

「……」

「命令だ。起きろ」

「……」

「龍毒ランク――」



「ん、ん~……あれ? ここはだれ? 私はどこ?」



 清廉(せいれん)な『気絶から目覚めたフリ』と同時、
 『記憶喪失でお茶を濁す作戦』を画策するチャバスチャン。

「……」

 呆れた顔をしているロコの横で、
 ヤマトが、

「君はゴキのメンバーでぇ、名前はアプソロだよぉ」

 と、声をかけると、

「あんな終わっている人と一緒にしないでいただきたいですね」

 反射的に嫌悪感を見せてくるチャバスチャンに、
 ゲンとボーレが、ほぼ同時に、

「「記憶、あるじゃねぇか」」

 と、呆れた言葉を投げかける。

 そんな『現状のコミカルさ』に背を向けて、
 ロコは、真剣な顔を貫き、


「マジメに戦え」


 と、怒りのこもった声で命じる。

 そこらの一般人なら、
 震え上がるであろう冷淡な声だったが、
 しかし、チャバスチャンは、シレっとした顔で、

「マジメに戦いましたよ。その結果、だいたいのことはわかりました。だから、もう十分でしょう?」

「……」

「さて、それじゃあ、私はこの辺で。いつまでも、お子様の相手をするほどヒマではありませんので」

 そう言いつつ、
 アモンに視線を向けて、

「あなたの方が、私よりもはるかに上です。それは、もうわかったはず。弱い者イジメはカッコ悪いですよ。というわけで、追ってこないでくださいね。それでは」

 そう言って、チャバスチャンは、
 両足に魔力とオーラを込めて、
 ダっと、勢いよく、その場を後にした。

 その背中を見送りながら、
 アモンは、

「……どうしますか? 追いかけて、後頭部を蹴り飛ばしてきましょうか? あの程度の速度なら、追いつけますけど?」

 そう問われて、ロコは、

「……もういいわ。こちらは、叔母様の命令を遂行しようと努力した。それは事実。それに……」

 ――と、含みのある言葉を口にしつつ、
 そこから先の明言を避けたロコに対し、

 アモンは、
 少しだけ考えてから、



「――それに、『僕らについての情報』は共有できたのだから、これ以上は必要ない――ですか?」



 と『かなり攻めた発言』をかましてみせた。
 その『遠慮のない無粋な発言』に対し、
 ロコは、顔色を変えずに、
 たんたんと、

「……そうね。そのとおりよ」

 と、冷静な言葉で返した。

 本音のカケラをぶつけ合わせるロコとアモン。
 『ちょいとむき出しの会話』をしている二人。

 そんな二人の様子を見ながら、
 ボーレが、隣にいるゲンに、

「……え、あの二人、何の話してんの?」

「ボーレ、お前は、本当に頭の悪いヤツだなぁ」

 と、前を置いてから、ゲンは、

「アレは、ほら、アレだよ……『宇宙は膨張している』みたいな、そんな感じの話をしているんだよ」

「……壮大だな」

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