センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

15話 お前は誰だ。

 15話 お前は誰だ。

(今回のミッションは、『ゲンの討伐』ではなく、『学園への潜入捜査』……無意味に『僕の全力』という情報を与える必要はない……)

 もちろん、『Sクラス』に潜入する以上、
 ある程度の実力は見せておく必要があるが、
 『必要以上の力』を見せびらかすのは愚の骨頂。

(さて、どうしたものか……)

 などと、困惑している間、

 ゲンは、

「ゲンナイト3、召喚」

 続けざまに、
 ゲンナイトを召喚し、

 さらに、召喚したゲンナイト同士で、
 バフをかけ合うように命令する。

「4枚目のゲンナイトは、あまりに強すぎて、一瞬で決着がついてしまうだろうから、ここでは使わずにおいてやるよ。俺の慈悲に感謝しろ」

 などと、ナメたことを言われて、
 アモンは、

(どうやら、4体目はいないっぽいな……)

 普通に『ハッタリだ』と見抜いたものの、

(……あのモンスターの倒し方がわからないって点は変わらない……物理に対する耐性が高いというだけなら、そこまで脅威でもないが……)

 色々な思案が頭の中をめぐる。
 当然だが、アモンは『ゲンナイトが無敵』だとは思っていない。

 『強力なバリアで一発だけ耐えた』
 『低確率で発動するスペシャルか何かで、無効化された』
 『特定の手順で攻撃しないと通らない』

 など、色々、理由や対処法は頭に浮かぶが、
 瞬時に、決定的な結論を出すことは難しい。

 そんな中、

 ゲンは、

「さあ、楽しい殺戮の時間だ」

 黒い笑顔でそう言って、
 ゲンナイトたちに、

「八方から撃ちまくれぇええ!」


「「「異次元砲」」」


 ゲンナイトたちが一斉に異次元砲を放ち、
 アモンに、回避を強制させる。

「ちっ」

 三方向からの異次元砲を回避するくらい、
 アモンならば造作もないが、
 しかし、

「――ゲン・ワンダフォ」

 回避した先で待っていたゲンの拳を避けるのは、
 楽勝とはいかず、
 つい、


「っっ――豪魔拳ランク17!!」


 反射的に、
 魔法で対応してしまった。

 ゲンの『グリムアーツ(拳)』と、
 アモンの『魔法(拳)』がぶつかり合い、
 互いに、バンッッと吹っ飛ぶ。

 両者、すぐに体勢を立て直して、
 相手の次手をうかがう。

 そんな中で、
 アモンは、歯ぎしりをして、

(く、くそ……つい、魔法を使ってしまった……)

 内偵のミッション中だから、
 『自分の全力』という情報を与えないように立ち回るべき。
 ――というのが、本気を隠していた最大の理由だが、


 『ゲンを倒すくらい、魔法なしでも余裕。
  こんなガキ相手に本気を出すのは、
  ゼノリカの天下として恥ずかしい』

 ――と、ナメたことを考えていたのも事実だった。

 実際、ゲン単体と殴り合うだけなら、
 本気を出す必要はなかったが、

 しかし、
 『ゲン&ゲンナイト』の、
 『それなりに息のあった連携』の前では、

 『実力を完全に隠した状態でも、鼻歌交じりの余裕』、
 ――というワケにはいかなかった。


(みっともない……こんなガキ相手に……たかが、ちょっと小マシな召喚獣を使われたくらいで……)


 自分に対する怒りがこみあげてきた。

(ふざけるなよ……マジで……)

 純度の高い怒りに包まれる。
 心がグツグツと沸き立つ。
 


(……僕は誰だ……)



 自問自答。
 全力で、自分自身に問いかける。

(……お前は誰だ……)

 その問いかけに、
 アモンの心臓は、ドクンと強く脈打って答える。

(そうだ……僕は……)

 栄えあるゼノリカの天下、
 楽連の武士、督脈の十五番。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品