センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

10話 あかーん!

 10話 あかーん!

 ――開始の合図など特になく、
 両者は、互いの領域に踏み込んでいく。

 かるく、様子見のジャブを打ち合ってから、
 適度に距離をとりつつ、
 ジンワリと、
 たがいの武を交差させていく。


 10秒もやりあえば、
 互いに気づく。


(この生意気そうなガキ……つっよ……)

(6歳……? 本当か……? 年齢一桁の子供にしては強すぎる……)


 ゲンもアモンも、
 お互いが、お互いに対し、
 『こんなガキが、どうして、こんなに……』と、
 『自分の強さ』を棚に上げて、
 相手の強さに疑念を抱く。

 30秒ほど経過したところで、
 いったん、
 互いに、安全な距離をとりあう。

 ゲンは、
 額に『軽く噴き出してきた汗』をぬぐいつつ、

「なかなか強いじゃないか、少年。まあ、俺には劣るが、大したもんだ」

 その発言を受けて、アモンは、
 こめかみに、軽く怒りマークを浮かべて、

「そっちもなかなか強いみたいだね。まあ、僕には劣るけど、大したものだよ」

「手加減してやっているだけなのに、調子にのってもらっちゃ困るな」

「こちらのセリフだね。僕は、6歳のガキ相手に本気を出すほど愚かじゃない」

「……ムカつくガキだな」

「そのセリフ、リボンをつけてお返ししよう」

 などと、和やかに言葉を交わしつつ、
 両者ともに、少しだけ気合を入れていく。

 魔力とオーラには、あえて制限をかけて、
 互いに、ゴリゴリの肉弾戦を望み合う。

 まずは、ゲンが、

「お前の、その『ガキの割には悪くない強さ』に敬意を表し、ちょっとだけ本気を出してやる……俺があまりに強すぎるからって、ビビって泣くなよ?」

 そのメッセージに対して、アモンが、

「君の、その『ガキにしてはマシな強さ』に敬意を表し、ほんの少しだけ、僕の『力の一端』を見せてあげるよ……僕の『実力の一部』を知っても落胆しないように。心配しなくても、僕は別格。僕より弱いからと言って落ち込む必要はまったくない」

 挑発しあってから、
 両者は、軸足に力を込めた。

 先ほどの探り合いとは違う。
 本格的な『殴り合い』の始まり。

 ガチンコの対話が始まってすぐ、
 ゲンは、



(あかーん! こいつ、マジでつよーい!!)



 普通に焦りだした。

 ほかの受験生を相手にしていた時は、
 一滴の汗も出さなかったゲン。

 しかし、今のゲンの額と背中には、
 冷や汗がビッシリ。


(やばい、やばい、やばい……このままだと、普通に負ける……)


 『今の自分より強いヤツが受験しにくる事』などありえない。
 そうタカをくくって、ここまで、かなり調子に乗っていたため、

(ここで負けるのは……かなり、恥ずい!)

 チョコネコで対モンスター用の鍛錬を積み、
 ケムスとも対人用の鍛錬を積んできた。

 その結果、ゲンは、一年前とは比べ物にならないほど成長した。

 ラムドカードやエグゾギアを使わずとも、
 全宮学園Sクラスのトップ級と評されるまで上り詰めた。

 だから、受験生など鼻歌交じりで叩き潰せると思っていたのだが、

(いやいや、マジで、このガキ、何者だよ……どっかの五大家からのまわし者か? こんなガキが在野にいるなんて、聞いたことがないぞ……)

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