センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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9話 残ったのは3人。

 9話 残ったのは3人。

 ゲンは、なんだかんだ、
 根がマジメなので、
 『やらざるをえなくなった仕事』は、
 それなりに、キチンとこなす。

 現状は『試験のシステム』も『言動』も、
 すべてがハチャメチャに思えるのだが、
 しかし、『合格ラインに達しているか否か』の査定だけは、
 かなり厳密に、キッチリと行っていた。

「さあ、現状は理解できたな? というわけで、『そこの100人』より弱いやつはさっさと帰れ。もし、残って挑戦するなら、右目を失う覚悟を決めろ。言っておくが、俺は、絶対にやるぞ。俺はやると言ったことは絶対にやる男だ」

 最後の言葉が引き金となり、

 大半の受験生が、ため息交じりに、
 その場を後にしていった。

 帰ろうかどうしようか迷う者も何人かいたが、
 ゲンがにらみつけると、
 あきらめた顔になって、
 肩を落としてかえっていった。

 そして、二分後、
 残ったのは、わずか3人。


「あれだけ言われて残るヤツは、やはり、面構えが違うな」


 ゲンは、そう言いつつ、
 軽く、屈伸をして、

「よし、そこのスキンヘッド。かかってこい。査定してやる」

「……よろしく」

 そのスキンヘッドは、
 なかなかの実力者だった。

 エリアEで、傭兵としてそれなりのキャリアを積んできた拳法の達人。

「おお、いいねぇ」

 存在値で言えば120前後だが、
 戦闘力がなかなか高かった。

「なかなか、悪くない」

 魔法もそれなりの使えるようで、
 自身にバフを積み、速度と精度を上げてから、
 ゲンを叩き潰そうと華麗に舞った。

 ――けれど、

「53番よりは強いな。右目は勘弁してやる。ただ、ギリギリ、基準は満たしていない。というわけで、残念ながら、不合格だ。来年の挑戦をお待ちしております」

 そう言いながら、
 ゲンは、スキンヘッドの足を払い、
 体勢が崩れて、下に落ちてきた『その顔面』に、
 綺麗な左フックを叩き込んだ。


「ぐぶほっ!」


 軽く吐血しつつ、
 豪快に吹っ飛んで気絶するスキンヘッド。

 ピクピクと痙攣するだけになった彼を尻目に、
 ゲンは、
 残っている二人に視線を向ける。

「さて、それじゃあ次だ。ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な」

 などと、冗談半分で言いつつ、
 ゲンは、アモンを指さして、


「まずは、お前だ。かかってこい」


 指名を受けたアモンは、
 パキパキっと、右手の関節を鳴らしながら、
 一歩、前に出て、

「君が気絶した場合、試験はやりなおしになるんだっけ?」

「ああ。それがどうした?」

「いや、なら手加減しないとなぁ、と思っただけさ」

「……ほざくじゃねぇか、ガキが」

「君よりは歳をとっているさ。ちなみに、君、何歳?」

「今年で6歳だ」

「僕は10歳だ」

「おたがい、若いな」

「くく……そうだね」

 などと言葉をかわしながらも、
 両者、ゆっくりと武を構えた。


 ――開始の合図など特になく、
 両者は、互いの領域に踏み込んでいく。

 まずは、ゲンが、ショートの右で挨拶を入れる。
 その拳を、アモンは、
 軽やかに回避してから、
 単発の左で、ヌルっと、ご機嫌をうかがう。
 その拳を、ゲンは、
 あえて、紙一重の回避でなだめる。

 様子見のジャブを打ち合ってから、
 適度に距離をとりつつ、

 両者、ジンワリと、
 たがいの武を交差させていく。


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