センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
89話 叶うならば……
89話 叶うならば……
「まだ、完全に信用しているわけではない。けれど、彼女は、おそらく、本気であたしの側についている。あたしの命令を聞く気はないし、あたしに対する忠誠心もゼロだけれど、ヤマトは間違いなく、『あたしの側』にいる。少なくとも敵ではない」
「そうですね……あいつは、間違いなく『ロコ様の側』にいます。完全な味方ではなくとも、あれが『敵ではない』というだけでも、けっこう大きなアドバンテージだと思いますよ」
「ヤマトとケムスだけじゃない。他のメンツも、Sクラスに在籍しているだけあって、みんな、非常に優秀。もちろん、『あたしの側につくことを決断するような連中』だから、いろいろと一クセあるメンツだけれど、その尖った性格も、『革命の舞台』では非常に役に立つと断言できる」
そんなロコの言葉を受けて、
ゲンの中で、当然の疑問が浮かぶ。
「あの場にいた連中は、『ロコ様の想い』をキチンと理解しているんですか? その……『革命がどう』とかの部分の話です」
「完全な理解なんて、どんな人間関係でも求めることはできない」
「道理ですね。けれど、この場における、その発言は、完全な詭弁(きべん)です。その色あせた矛盾、ご自身でも理解していますよね?」
「矛盾も詭弁もおためごかしも偽善も偽悪も盛大に駆使して、あたしは迷わず、前に進む。これからあたしは、『こんなことになるなんて聞いていなかった』という言い訳をつぶすための毎日を積んでいく。前提を丁寧に並べていく。悲惨な未来になったとしても、それでも、やらなければいけないことが、あたしにはある」
「……」
「きれいごとを口にしているだけで世界が変わるのなら、あたしは、毎日、朝から晩まで愛と情と真心を説く。けど、世界はそうじゃない。そこまで、世界はまともじゃない」
「……」
「まともじゃないから、まともな世界に変えたいと願う……当たり前の話でしょう?」
「一つだけ聞いていいですか?」
「なに?」
「革命に伴う犠牲に関して、ロコ様はどうお考えで?」
「……その残酷な問いは、あたしを攻めている感じ?」
「いえ、知っておきたいだけです。ロコ様の想いを。俺が『どういう剣になるか』は、ロコ様の願い次第。だから、俺は、ロコ様の『そこのところ』について、キチンと知っておかなければいけない。だから、できれば、本音をいただきたい」
そんなゲンの言葉を受けて、
ロコは数秒だけ悩んだが、
「叶うなら……誰も死なないでほしい……」
天を仰ぎ、消え入りそうな声で、
彼女はそう言った。
『本音』だとか、『偽善』だとか、
そういうパッケージで装飾することは出来ない、
ただ、こぼれて、あふれ出た、むき出しの言葉。
そんな『傷だらけの言葉』を受けて、
ゲンは、二度ほど、ゆっくり頷いてから、
「……もし、世界がまともになったら、そのまともな世界で、ロコ様は何をしますか?」
ふと思いついた変化球の質問。
そんな、『ストレートという名の変化球』に対し、
ロコは、
「そうね……とりあえず、好きな男とデートでもするわ」
ゲンの目を見ながら、
イタズラな笑顔を浮かべて、
そんなことを言った。
――悪い女だ。
なんて、そんなことを、ゲンは思った。
「まだ、完全に信用しているわけではない。けれど、彼女は、おそらく、本気であたしの側についている。あたしの命令を聞く気はないし、あたしに対する忠誠心もゼロだけれど、ヤマトは間違いなく、『あたしの側』にいる。少なくとも敵ではない」
「そうですね……あいつは、間違いなく『ロコ様の側』にいます。完全な味方ではなくとも、あれが『敵ではない』というだけでも、けっこう大きなアドバンテージだと思いますよ」
「ヤマトとケムスだけじゃない。他のメンツも、Sクラスに在籍しているだけあって、みんな、非常に優秀。もちろん、『あたしの側につくことを決断するような連中』だから、いろいろと一クセあるメンツだけれど、その尖った性格も、『革命の舞台』では非常に役に立つと断言できる」
そんなロコの言葉を受けて、
ゲンの中で、当然の疑問が浮かぶ。
「あの場にいた連中は、『ロコ様の想い』をキチンと理解しているんですか? その……『革命がどう』とかの部分の話です」
「完全な理解なんて、どんな人間関係でも求めることはできない」
「道理ですね。けれど、この場における、その発言は、完全な詭弁(きべん)です。その色あせた矛盾、ご自身でも理解していますよね?」
「矛盾も詭弁もおためごかしも偽善も偽悪も盛大に駆使して、あたしは迷わず、前に進む。これからあたしは、『こんなことになるなんて聞いていなかった』という言い訳をつぶすための毎日を積んでいく。前提を丁寧に並べていく。悲惨な未来になったとしても、それでも、やらなければいけないことが、あたしにはある」
「……」
「きれいごとを口にしているだけで世界が変わるのなら、あたしは、毎日、朝から晩まで愛と情と真心を説く。けど、世界はそうじゃない。そこまで、世界はまともじゃない」
「……」
「まともじゃないから、まともな世界に変えたいと願う……当たり前の話でしょう?」
「一つだけ聞いていいですか?」
「なに?」
「革命に伴う犠牲に関して、ロコ様はどうお考えで?」
「……その残酷な問いは、あたしを攻めている感じ?」
「いえ、知っておきたいだけです。ロコ様の想いを。俺が『どういう剣になるか』は、ロコ様の願い次第。だから、俺は、ロコ様の『そこのところ』について、キチンと知っておかなければいけない。だから、できれば、本音をいただきたい」
そんなゲンの言葉を受けて、
ロコは数秒だけ悩んだが、
「叶うなら……誰も死なないでほしい……」
天を仰ぎ、消え入りそうな声で、
彼女はそう言った。
『本音』だとか、『偽善』だとか、
そういうパッケージで装飾することは出来ない、
ただ、こぼれて、あふれ出た、むき出しの言葉。
そんな『傷だらけの言葉』を受けて、
ゲンは、二度ほど、ゆっくり頷いてから、
「……もし、世界がまともになったら、そのまともな世界で、ロコ様は何をしますか?」
ふと思いついた変化球の質問。
そんな、『ストレートという名の変化球』に対し、
ロコは、
「そうね……とりあえず、好きな男とデートでもするわ」
ゲンの目を見ながら、
イタズラな笑顔を浮かべて、
そんなことを言った。
――悪い女だ。
なんて、そんなことを、ゲンは思った。
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