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96話 完成した老害。

 96話 完成した老害。

「事実として、私が最年少であり、モノ心つく前から、あなたに手をひかれてきた。つい敬語が出てしまう程度のことは、許してほしいものだ」

 ポロっと、本音を口にすると、
 バンプティは渋い顔になって、

「そのような甘えは許されぬ。ゼノリカを……主の組織をナメるな」

「あなたを敬愛しているだけで、ゼノリカをナメているわけではない」

「いや、ぬしは、ゼノリカをナメておる。ナメているという言葉が気に食わぬのであれば、こう言い換えよう。ぬしは、主に対する愛が足りぬ」

「いや、まあ……確かに、私は、聖典教の信者ではないが……」

「九華のリーダーともあろう者が、主を信じていない……これは由々しき事態」

「……九華に聖典教の信者は、ほとんどいなかったような……」

 バロールやマリスは、聖典を暗記するほど読み込んでいるが、
 しかし、神を信じているわけではなく、
 カティに至っては『んなもんいるわけねぇだろ』のスタンスをとっている。

「というか、あなたも、正式には聖典教の信者ではなかったはずだが?」

 バンプティは、補佐として、
 直属の上司であるパメラノと行動を共にすることが多い。

 パメラノは、聖典教における教皇的な立場にあるため、
 聖典教関連の行事に参加することが多々ある。

 直属の配下であるバンプティは、
 聖典教関連行事の『ほぼ大半』に、
 パメラノの従者として参加している。

 ――その前提があるため、
 多くの者が、バンプティも聖典教の人間なのだろうと、
 勝手に認識しているが、
 実際のところ、
 バンプティは、聖典教の人間ではない。

 ……なのだが、
 しかし、バンプティは、
 『やれやれ顔』で首を横にふり、

「アホなことを……私は、生まれる前から、主の剣。聖典教の名簿に名前こそ登録されておらんが、しかし、そんなことは些細なこと。主を愛する気持ちで言えば、私の右に出るものはそうそうおらん」

「……神法的には『名簿に登録されているかどうか』だけが『聖典教の信者か否か』の判別基準なのだが……」

「そんな画一的な話はしておらーん! 私は心の話をしておるのだ、心の!」

(老害感がすごいな……こんな人じゃなかったはずだが……)

 ジャミは渋い顔で、

(……いったい、どうしたというのだ? この人も、私と同じで、根っこの部分では、主という概念に対して、一歩引いた目でみていたはずだが……)

 実際、そうだった。
 昨日までのバンプティは、
 『神帝陛下という概念』に対し、
 どこかで『懐疑的な感情』を隠し切れずにいた。

 これまでの人生経験等から、
 『おそらく、実在はしたのだろう』とは思っていたし、
 『あれほどの敬意を向けられる人物は、
  当然、素晴らしい神だったのだろう』とは思っていた。

 しかし、それは『理性の部分』での認識であり、
 本音だけを並べるのであれば、
 ぶっちゃけ『……ウソくせぇ』と思っていた。

 『この辺の機微』に関しては、
 むしろバンプティが正常であり、
 大概の人間は、聖典を読んだときに、
 『ウソくせぇ』と思うものなのである。

 だが、今日という膨大な経験を経たことで、
 バンプティの中で革命が起きた。

 バンプティの中には、
 間違いなく神が宿ったのだ。

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