センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
92話 裏イベントスイッチ S099 ON
92話 裏イベントスイッチ S099 ON
仮眠室を出たあと、
カドヒトは、
(こんだけやれば、十分だろ……)
心の中でそうつぶやいてから、
瞬間移動で、その場を後にした。
★
――残されたスールは、
しばらく、
簡易ベッドの上でボーっとしていた。
その間、胸の中では、
「……なにかが……」
トクンと、異質な鼓動を鳴らしていた。
「ちがう……」
心臓の自律性が、何かを訴えかけてきていた。
ドクンと、
強く跳ねて、
まっすぐに、スールをにらみつけてくる。
「夢じゃない……夢なワケがない……」
心と魂魄に刻まれた想いが、
『ハンパな記憶処理』を打ち消そうと瞬く。
スールの中に刻まれた『狂信』の属性が、
『神の光を失うまい』とあがいている。
「……主よ……」
スールの中で、想いが膨らんでいく。
加速度的に、指数関数的に、
記憶改竄の介入が間に合わない速度で。
――単純な話。
カドヒトはナメていた。
カドヒトは――『センエース』は、
スールが胸に抱いた『自分への想い』を、
完全に完璧にナメすぎていた。
いつだって、センエースは足りていない。
『自分という輝き』に対する理解が、さっぱり足りていない。
己の光が、どれだけ、他者の心を揺さぶっているか、
それが、まるで理解できていない。
だから、起こりうる。
こういう、初歩的なミス。
純粋で無垢な処理不足。
「……あなたは……美しかった……」
神の魔法を受けてしまったため、
記憶が完全な状態で保存されているわけではない。
しかし、心にはハッキリと残っている。
神の輝き。
神の想い。
「おぼえている……ちゃんと……この胸に……残っている」
スールは、自分自身を抱きしめながら、
心の底からの涙を流す。
「伝えたい……叫びたい……この世界に刻みたい……神の全てを……」
その要求があふれた。
しかし、
「……けれど……」
スールはグっと奥歯をかみしめる。
自分の欲望よりも、
『優先させるべき敬愛』がある。
先ほどの『カドヒトとの会話』から、
主が『スールに記憶系の魔法をかけたこと』は推測できた。
そして、カドヒトの言動から、
主の『想いのカケラ』も理解できた。
だから、慮(おもんぱか)ることができる。
主の意向。
主の望み。
ゆえに、
「……主がそれを望まれるのならば……」
スールという男が『これまで通りのスール』であること、
――主は、それを望まれている。
主が望まれているのであれば、
それを無碍(むげ)になど、できるはずがない。
「……あなた様は、本当に高潔で美しい……」
スールは想う。
自分の主は、驚くほど、理想通りの神だった。
『欲張りすぎる自分の理想』が実現することなど、
絶対にありえないと思っていたのだが、
しかし、
神は、スールの願いをそのまま形にしたかのように、
スペックも精神性も、すべてが完璧だった。
(あれほどの、ケタ違いの高みにある絶対的高次の存在でありながら、潔癖すぎるほどの謙虚さを有している理想の神……)
そこの部分に対する理解が深まるにつれて、
『主に対する想い』が、
さらに、爆発的に膨れ上がっていく。
そして、ついには、
定められていた『閾値(いきち)』を超えた。
「俺は、スール・トランスミッター。尊き神に触れた者にして、偉大なる王から『あるがまま』を望まれた男」
その名乗りは命の指標。
たどり着いた魂の答え。
その結果、
―― 裏イベントスイッチ S099 ON ――
『シルバーキープログラムのサイクル終了』を確認。
『P型センエース0号の最終アップデート』を開始。
『F世界線の収束』を確認。
『パーフェクトコスモゾーン』へのアクセスを開始します。
システム最適化中……
管理者権限を執行……
エラー、
再トライ開始、
エラー、
再トライ開始、
再トライ開始、
再トライ開始、
~~拒絶されました。
~~容量が足りません。
現状ではまだまだ負荷が大きすぎる模様。
しかし『可能性はゼロではない』と判断。
【ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)】
X67552318コードの修正を提案。
オルタナティブフェイズへの移行を検討願う。
スールの理解の及ばない領域で、
特別な何かが起ころうとしていた。
……
……
……
……
『
提案を受け入れる。
センエースの可能性を、
私も信じてみたくなった。
』
こうして、新たなステージの幕が開く。
すべての『前提』が積み重なって、
物語は加速していく。
仮眠室を出たあと、
カドヒトは、
(こんだけやれば、十分だろ……)
心の中でそうつぶやいてから、
瞬間移動で、その場を後にした。
★
――残されたスールは、
しばらく、
簡易ベッドの上でボーっとしていた。
その間、胸の中では、
「……なにかが……」
トクンと、異質な鼓動を鳴らしていた。
「ちがう……」
心臓の自律性が、何かを訴えかけてきていた。
ドクンと、
強く跳ねて、
まっすぐに、スールをにらみつけてくる。
「夢じゃない……夢なワケがない……」
心と魂魄に刻まれた想いが、
『ハンパな記憶処理』を打ち消そうと瞬く。
スールの中に刻まれた『狂信』の属性が、
『神の光を失うまい』とあがいている。
「……主よ……」
スールの中で、想いが膨らんでいく。
加速度的に、指数関数的に、
記憶改竄の介入が間に合わない速度で。
――単純な話。
カドヒトはナメていた。
カドヒトは――『センエース』は、
スールが胸に抱いた『自分への想い』を、
完全に完璧にナメすぎていた。
いつだって、センエースは足りていない。
『自分という輝き』に対する理解が、さっぱり足りていない。
己の光が、どれだけ、他者の心を揺さぶっているか、
それが、まるで理解できていない。
だから、起こりうる。
こういう、初歩的なミス。
純粋で無垢な処理不足。
「……あなたは……美しかった……」
神の魔法を受けてしまったため、
記憶が完全な状態で保存されているわけではない。
しかし、心にはハッキリと残っている。
神の輝き。
神の想い。
「おぼえている……ちゃんと……この胸に……残っている」
スールは、自分自身を抱きしめながら、
心の底からの涙を流す。
「伝えたい……叫びたい……この世界に刻みたい……神の全てを……」
その要求があふれた。
しかし、
「……けれど……」
スールはグっと奥歯をかみしめる。
自分の欲望よりも、
『優先させるべき敬愛』がある。
先ほどの『カドヒトとの会話』から、
主が『スールに記憶系の魔法をかけたこと』は推測できた。
そして、カドヒトの言動から、
主の『想いのカケラ』も理解できた。
だから、慮(おもんぱか)ることができる。
主の意向。
主の望み。
ゆえに、
「……主がそれを望まれるのならば……」
スールという男が『これまで通りのスール』であること、
――主は、それを望まれている。
主が望まれているのであれば、
それを無碍(むげ)になど、できるはずがない。
「……あなた様は、本当に高潔で美しい……」
スールは想う。
自分の主は、驚くほど、理想通りの神だった。
『欲張りすぎる自分の理想』が実現することなど、
絶対にありえないと思っていたのだが、
しかし、
神は、スールの願いをそのまま形にしたかのように、
スペックも精神性も、すべてが完璧だった。
(あれほどの、ケタ違いの高みにある絶対的高次の存在でありながら、潔癖すぎるほどの謙虚さを有している理想の神……)
そこの部分に対する理解が深まるにつれて、
『主に対する想い』が、
さらに、爆発的に膨れ上がっていく。
そして、ついには、
定められていた『閾値(いきち)』を超えた。
「俺は、スール・トランスミッター。尊き神に触れた者にして、偉大なる王から『あるがまま』を望まれた男」
その名乗りは命の指標。
たどり着いた魂の答え。
その結果、
―― 裏イベントスイッチ S099 ON ――
『シルバーキープログラムのサイクル終了』を確認。
『P型センエース0号の最終アップデート』を開始。
『F世界線の収束』を確認。
『パーフェクトコスモゾーン』へのアクセスを開始します。
システム最適化中……
管理者権限を執行……
エラー、
再トライ開始、
エラー、
再トライ開始、
再トライ開始、
再トライ開始、
~~拒絶されました。
~~容量が足りません。
現状ではまだまだ負荷が大きすぎる模様。
しかし『可能性はゼロではない』と判断。
【ラスボス・プロジェクト(センエース補完計画)】
X67552318コードの修正を提案。
オルタナティブフェイズへの移行を検討願う。
スールの理解の及ばない領域で、
特別な何かが起ころうとしていた。
……
……
……
……
『
提案を受け入れる。
センエースの可能性を、
私も信じてみたくなった。
』
こうして、新たなステージの幕が開く。
すべての『前提』が積み重なって、
物語は加速していく。
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