センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
88話 すべての幸福に感謝する。
88話 すべての幸福に感謝する。
「しつこい男は嫌われまちゅよ。オイちゃんに嫌われてもいいんでちゅか?」
「もう、これ以上ないってくらい嫌われているから、なにも怖くねぇ。失うものがない奴隷だけが皇帝に勝てる――そういう気持ちで、俺は今、お前と向き合っている」
「オイちゃんの感情を甘く見てもらっちゃ困りまちゅね。このシューリ・スピリット・アースは、怒りゲージが消費されるたびに狂乱度がはるかにます。その怒りゲージを、あと2本も、オイちゃんは残している。その意味がわかるな?」
「恐ろしさと絶望のあまり、うまれてはじめて涙を流しそうだ。頼むから、残り2本のゲージは永遠に封印しておいてくれ。これ以上、情緒不安定に加速がかかったら、さすがの俺でも戦意喪失を免れない」
流れるように冗談を並べていくセン。
淡い時間が、ゆっくりと流れた。
会話の切れ目を感じたセンは、
ふぅ、と、少しだけ質量の大きいタメ息をついて、
「……」
視線をシューリから外し、
ここではない『どこか遠く』を見つめながら、
静かに、
(本気で死ぬと心に決めると……なんだか、世界の色が少し変わって見えるな。今まで、少しセピア色だったが、今は、妙にハッキリとした色調に感じる)
天を仰ぎ、
少しだけ深く呼吸をする。
(俺みたいに壊れた男でも、やはり、ガチで死ぬとなると『一抹の寂しさ』を感じるらしい。どうやら『センエースって概念』にも『人らしさみたいなモノ』が、ちょっとは残っていたみたいだ。くく……)
おかしそうに笑いつつ、
自分の人生を振り返っていく。
頭の中で、
最大のライバルの顔を思い出しながら、
(ソンキー、お前がいてくれて、本当に助かったよ。おかげで、アポロギスを倒した以降も、戦う相手に悩まなくてすんだ。できれば、お前にも、究極超神化6に届いてほしかったが……究極超神化6に届かなくても、お前は十分に強かったよ)
ソンキーがいなかったら、と考えて、
センは少しだけゾっとした。
どれだけ磨いても、それをぶつける相手がいない恐怖。
感情の問題で、
『シューリが相手だと、どうしても全力の暴力はふるえない』、
という前提がある以上、
ソンキーがいなければ『戦闘の面』においては、
本当の『一人ぼっち』になるところだった。
孤高を愛しているのは事実だが、
『カラッポの一人ぼっち』は許容できないという、
きわめてワガママな自意識のバケモノ。
(お前には本当に感謝している。……だから、限界に達したお前と戦って、どっちが強いか決めておきたかった……みたいな未練もなくはない……)
だが、
と、心の中で接続詞をつけて、
(しかし、突き詰めて考えると、やはり、どこかで『どうでもいい』と思ってしまう。もし、俺たちの可能性が無限だったなら、きっと、また、別の感情を抱くんだろうが……カンストが決まっている世界での勝敗は所詮、ジャンケンだからなぁ……)
可能性が無限だったなら、
『どっちがどれだけ積んだか』、
『どちらの資質がより優れているか』
それらを競い合う純粋な勝負にもなりえるが、
現状では、どう頑張っても、そういう闘いにはなりえない。
「しつこい男は嫌われまちゅよ。オイちゃんに嫌われてもいいんでちゅか?」
「もう、これ以上ないってくらい嫌われているから、なにも怖くねぇ。失うものがない奴隷だけが皇帝に勝てる――そういう気持ちで、俺は今、お前と向き合っている」
「オイちゃんの感情を甘く見てもらっちゃ困りまちゅね。このシューリ・スピリット・アースは、怒りゲージが消費されるたびに狂乱度がはるかにます。その怒りゲージを、あと2本も、オイちゃんは残している。その意味がわかるな?」
「恐ろしさと絶望のあまり、うまれてはじめて涙を流しそうだ。頼むから、残り2本のゲージは永遠に封印しておいてくれ。これ以上、情緒不安定に加速がかかったら、さすがの俺でも戦意喪失を免れない」
流れるように冗談を並べていくセン。
淡い時間が、ゆっくりと流れた。
会話の切れ目を感じたセンは、
ふぅ、と、少しだけ質量の大きいタメ息をついて、
「……」
視線をシューリから外し、
ここではない『どこか遠く』を見つめながら、
静かに、
(本気で死ぬと心に決めると……なんだか、世界の色が少し変わって見えるな。今まで、少しセピア色だったが、今は、妙にハッキリとした色調に感じる)
天を仰ぎ、
少しだけ深く呼吸をする。
(俺みたいに壊れた男でも、やはり、ガチで死ぬとなると『一抹の寂しさ』を感じるらしい。どうやら『センエースって概念』にも『人らしさみたいなモノ』が、ちょっとは残っていたみたいだ。くく……)
おかしそうに笑いつつ、
自分の人生を振り返っていく。
頭の中で、
最大のライバルの顔を思い出しながら、
(ソンキー、お前がいてくれて、本当に助かったよ。おかげで、アポロギスを倒した以降も、戦う相手に悩まなくてすんだ。できれば、お前にも、究極超神化6に届いてほしかったが……究極超神化6に届かなくても、お前は十分に強かったよ)
ソンキーがいなかったら、と考えて、
センは少しだけゾっとした。
どれだけ磨いても、それをぶつける相手がいない恐怖。
感情の問題で、
『シューリが相手だと、どうしても全力の暴力はふるえない』、
という前提がある以上、
ソンキーがいなければ『戦闘の面』においては、
本当の『一人ぼっち』になるところだった。
孤高を愛しているのは事実だが、
『カラッポの一人ぼっち』は許容できないという、
きわめてワガママな自意識のバケモノ。
(お前には本当に感謝している。……だから、限界に達したお前と戦って、どっちが強いか決めておきたかった……みたいな未練もなくはない……)
だが、
と、心の中で接続詞をつけて、
(しかし、突き詰めて考えると、やはり、どこかで『どうでもいい』と思ってしまう。もし、俺たちの可能性が無限だったなら、きっと、また、別の感情を抱くんだろうが……カンストが決まっている世界での勝敗は所詮、ジャンケンだからなぁ……)
可能性が無限だったなら、
『どっちがどれだけ積んだか』、
『どちらの資質がより優れているか』
それらを競い合う純粋な勝負にもなりえるが、
現状では、どう頑張っても、そういう闘いにはなりえない。
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