センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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73話 未来の器になりえる覚悟。

 73話 未来の器になりえる覚悟。

「さあ、構えろ。ヒーローの舞い方を教えてやる」
「ひどく役者不足ではございますが、お相手させていただきます、尊き主よ」

 そう言って、両者は、向かい合う。
 ほんの一瞬の静寂。
 コンマ数秒後、
 静けさを切り裂くように、
 強欲な拳たちが弾け合う。

 交わし合う、極限の武。
 常人の理解を全力で拒む、
 あまりに高次すぎるイカれた戦闘。

 センエースの武は、あまりにも高い場所にある。
 常識を超越した、狂気の結晶。

 しかし、バンプティは、ソレについていく。
 遥かなる高みの武。

 理解しきれない世界で、
 しかし、バンプティは必死になって食らいつく。

 老巧(ろうこう)で精妙(せいみょう)な拳がうたう。

 幻想の剣が、芸術的な連鎖をおこして、
 『三次元ではモノたりない』とばかりに、
 空間のあちこちに、鮮やかな命の色を塗りたくっていく。

「あらためて言おう。バンプティ……お前の覚悟は見事だ。積み重ねてきた輝き……その全てが一致して、果て無く美しい煌めきになっている。お前の強さには敬服する」

 武を交わし合う中で、
 神の王は、心からの言葉を並べる。

 尊き言葉を受けて、
 バンプティは、また涙を流し、

「敬服などと……私ごときにもったいない御言葉……今の私は、沸騰しているだけ。力の源は、私の中に潜む虫のモノ……」

「確かにそうだ。しかし、バグったウルティマ・ギアスをも支配してみせたその胆力は、お前自身のもの。お前は美しい。お前の強さは、本物だ」

「ありがたき……お言葉……」

 ボロボロと、熱のある涙を流し、感謝の意を述べるバンプティ。
 必死になって積み重ねて日々が祝福された。
 それに敵う喜びはない。

 幸福と歓喜に包まれているバンプティに、
 神の王は、

「とは言ったものの……お前の魂魄……そのままでは、くだけてしまいそうだな。その『膨大な数値』を背負っていけるだけの器が、今のお前にはまだない。お前は強いが、まだツボミであることに変わりはない。お前を失うわけにはいかない……となると、お前を過剰に膨らませている『異物(仮バグ)』は、是非モノで駆除しなければいけない……が、そうなると、お前は、その力を失ってしまう……それは非常にもったいない……」

 どうにかして残しておく方法はないかと考えるセンに、
 バンプティは、ニコっと微笑んで、

「自力で……いつか、自力で届いてみせましょう。尊き主よ……私は、その日まで、研鑽の手を止めない……これまでと同じ……いえ、これまで以上に……私は、私を積んでいく……その覚悟が……今の私を包み込んでいる……」

 未来の器になりえる覚悟をみせたバンプティ。
 その想いを受け止めたセンは、
 柔らかに微笑んで、

「そうか……強いな」

「あなた様ほどではございません」

「そうかな……実際のところ、俺は、さほど大した男じゃない」

「ご謙遜が過ぎて、猛毒の嫌味になっておりますぞ、お気をつけください」

「謙遜じゃねぇよ。ただの事実だ。背負ってきたモノが、俺に不遜を通させているだけで、実際のところ、俺なんざ、ただのド変態だ。それ以上の何かにはなりえねぇ」


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