センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

69話 狂信と共振。

 69話 狂信と共振。

 五感が奪われた『真っ黒な世界』で、
 バンプティは息も出来ず、
 自分の輪郭を感じることもできない。

「うぷ……」

 深い闇に溺れる。
 ブラックアウト寸前。

 そんな状況でも、
 バンプティの『中』には、


(ぁあ、主よ……あなた様の言葉が、私の胸の中で輝いている……なんと、幸福な時間でしょう……)


 魂魄に刻まれたセンエースの言葉が、
 バンプティの全てを押し上げていく。

 どれだけの絶望を前にしても、
 主の光は、
 いつだって、
 バンプティの中で、またたいている。

 そんなバンプティを見て、
 仮バグは、焦った顔で、


「――ま、まだ抗うのか! 信じられん! なんだ、その胆力は!! どうして、そうなった……っ」


 と、そこで、仮バグは気づく。
 バンスールの中に、

「っっっ?!! こ、こいつっ……『狂信』の属性が追加されてやがるっ……いや、それだけじゃなく、『共振』のスペシャルまで……ヤバい、ヤバい、ヤバいぃいっ……すでに、『プライマル・オリジナル』の『異常性』――『その一部』が発現しているっ……こ、このままじゃ、マジで『コピーした数値』を飲み込んで、ぶっ壊れるまで膨らみ続けてしまうっ!!」

 ギリっと奥歯をかみしめて、

「しかたない!! こうなったら、とことんいってやる!! 全力のトドメだ!」

 そう叫ぶと、
 追加で、アイテムボックスから魔カードを取り出し、

「禁止魔カード、使用許可要請!」


『許可する』


「――はないちもんめ――」


 禁止魔カードの執行により、
 バンプティの魂は、
 さらに深い闇の奥へと引きずり込まれる。

 しかし、もはや、
 闇の質量など関係なかった。

 どれだけの暗闇に閉じ込められても、
 バンプティの中は、
 すでに『この上ない光』であふれている。

 ――だから、はねる。


 ……ドクンと、


 強く心臓が跳ねる音が確かに聞こえる。

 暗闇の底で、
 命のシャウト。

 再度、
 ドクンと、音がした。

 叫びのような鼓動音は、
 次第に強くなっていく。

 仮バグに飲まれて以降も『折れずに叫び続け』ていた、
 バンプティの『最後の意地』の部分が結集する。

「所詮はちっぽけな贋作。不出来なパチモンの分際で……な、なぜ、ここまで、強靭にあらがえる! くそがぁああ! ならば、もう一枚――」

 と、そこで、
 少し離れた場所で鎖につながれているスールが、


「――異次元砲――」


 繋がれた状態のまま、
 口を放出箇所として、
 豪快なゲロビ型の異次元砲をかましてみせた。

「ぐっはぁぅっ!!」

 想定外の圧力に吹っ飛ばされる仮バグ。
 そんな仮バグを見下しながら、
 スールは、

「猊下の……邪魔するなよ、虫ケラ……」

 ふりしぼりながら、
 吐き捨てるように、そう言った。
 今は、スールも、バンスールの一部。
 ゆえに、仮バグの力を使うことも不可能でない。

「ぼ、ボケがぁ……そこらを這ってるアリと変わらねぇクソカスザコの分際で、オレの力を勝手に使いやがって」

「どの口が言っていやがる……俺の魂魄を勝手に使いやがって……」

「お前のようなアリが、このオレに使ってもらえたんだぞ! 感謝しろ、ボケが!」

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